この土地の、緑と空を残したい ~農地が街から消えていく~

練馬の町から、農地が消えて行っています。生産緑地という、法律に基づいて都市計画までかかっている農地も、相続や後継者不在などの事情で生産緑地としての指定が解除され、開発に回されるケースが相次いでいます。地域からまとまった緑の空間が消えていく。そんな姿を目の当たりにした人は、少なくないはずです。
石神井町2丁目にあった大きな生産緑地も、開発に回されようとしています。ご近所の方からいくつもお声を頂き、この貴重な緑を残せないか、キャンペーンを始めました。急きょ発行した『SEIJI PAPER(区政かわら版)』号外の記事を紹介します。

● 5,000㎡の緑が消える!

石神井町2丁目34番。4丁目との境に接した一角に、大きな畑が広がっていました。面積は5,000㎡を超えます。駅至近の住宅地の中にどっしりと広がる広大な畑は、空を広げ、開放感のある街並みを支え、空気に潤いを与え、石神井の町の景観と住環境を豊かなものにしてくれる貴重な資源でした。
今、この場所では農業は営まれておらず、「生産緑地」の看板をおおうように雑草が生い茂っています。区の説明では、こうです。昨年秋、農業を続けることができなくなった地主さんから区に対して、農地(生産緑地)の買い取りの申し出が出されます。法律では、申し出があった場合には基本的に自治体が買い取ることになっているのですが、区は買い取る意思がないことを通知します。地主さんは、開発のために土地を売却するしかありません。そして、この土地に大きなマンションを建設する計画が動き出したのです。
予定されているマンションは地上3階地下1階、86戸。3棟が連なる構造です。(詳しい図面は最後に) 一面の緑だった場所に、3階建ての堅牢なマンションが建つ。開発に伴って整備が義務付けられている小さな公園はできますが、敷地内は空地自体が少ない計画で、緑化も限られたものになりそうです。

 

● 区はなぜ買い取らなかったのか?

それにしてもなぜ区は、この畑を買い取らなかったのでしょうか。
あたりが畑だらけだとか、近くに公園がいっぱいあるとか、あるいは避難用の空地があちこちにあるとか、そんな事情があれば、わざわざたくさんの税金をかけて買い取らなくてもいいのかもしれません。
でも、全く違います。
石神井町2丁目には、区の公園が3つ、児童遊園が2つありますが、もっとも広いむくのき公園でも2,000㎡をわずかに超える程度。5,500㎡の三原台公園に比べてもぐっと小ぶりですし、132号線という大きな道路の東側です。あとは500㎡を切るような小さなものばかりです。おとなりの4丁目、高野台3丁目、あるいは三原台1丁目にも、まとまった公園や空地はありません。区の調査でも、一帯は公園整備が立ち遅れている地域の一つです。しかも、畑がどんどん減って民間の緑も限られ、この畑は本当に貴重な地域の宝だったのです。

まだ農地から宅地への転用の手続きは終わっていません。所有権も、開発業者には移っていないようです。この5,000㎡の土地を、町の財産として区に買い取るように声を挙げませんか?
ご意見をお待ちしています。時間はあまりありませんが、でも、まだ後戻りできない道ではありません。皆さんのお声次第です。

|2019-11-20T08:10:54+09:002019年11月16日|8件のコメント

コメント

  1. Kenichi Fujita 2019年11月17日 at 22:11 - 返信する

     法令の条文とその運用にはかなりの乖離があるようで、その運用をある程度熟知していないとコメントは難しいように思えます。
    そこをあえてコメントしますと、
    1.生産農地法第十一条では「市町村長は、第十条の規定による申出があつたときは、次項の規定により買取りの相手方が定められた場合を除き、特別の事情がない限り、当該生産緑地を時価で買い取るものとする。」と規定されていますが、区にとっての「特別の事情」とはなんであるのか、区には説明責任があります。
    2.生産農地法第十三条では「市町村長は、生産緑地について、前条第一項の規定により買い取らない旨の通知をしたときは、当該生産緑地において農林漁業に従事することを希望する者がこれを取得できるようにあつせんすることに努めなければならない。」とありますが、区がどのような努力をしたのかも区は説明すべきです。
    2-1.更に生産農地法第十七条の二で「市町村長は、(中略)農業に従事することを希望する者が生産緑地を取得できるようにあつせんを行う場合には、農業委員会に協力を求めることができる。」とありますので、じゃあ農業委員会はどのような協力をしたの?
    3.生産農地法第十六条に「第十一条第一項若しくは前条第二項の規定により、又は第十二条第二項の規定により生産緑地を買い取つた市町村長又は地方公共団体等は、当該生産緑地をこの法律の目的に従つて適切に管理しなければならない。」と規定されているので、ここが辛いところにも見えますが、実際のところは第十一条2で「市町村長は、第十条の規定による申出があつたときは、当該生産緑地の買取りを希望する地方公共団体等のうちから当該生産緑地の買取りの相手方を定めることができる。この場合において、当該生産緑地の周辺の地域における公園、緑地その他の公共空地の整備の状況及び土地利用の状況を勘案して必要があると認めるときは、公園、緑地その他の公共空地の敷地の用に供することを目的として買取りを希望する者を他の者に優先して定めなければならない。」と規定されているので結構自由みたいです。ですから農地のまま残さなくても、公園でもOKという提案が生まれるのでしょう。
     でもやはり農地で残して欲しいというのが私の第一の希望です。
     だから、農地委員会だけでなくJAにも協力してもらうとか、ふるさと納税制度を利用して、全国から農地のオーナーを募るとかして、農地としての存続に知恵を縛っていただきたいと思います。
     ただ、「大きな畑」ではありません。「面積は5,000㎡超」、そうです、僅か0.5ha余り!…これが農業者の買い手がつかない最大の原因と思われます。だからふるさと納税規模の小口出資が一番かもしれません。でも指定管理者を置いて耕作してもらわないといけませんから、とりあえず自動運転の農業機械やドローンを適宜投入出来る法人企業を選定する必要はあるでしょう。そういうIoT農業を売りにするのか栽培作物に特徴を持たせるのか、ふるさと納税者を集めることができるだけの魅力ずくリニモ知恵を絞る必要があります。
     「公園」と言ったって、そのコンセプトはどうするのですか? 農地から公園絵の整備費用、維持費用をどう見つもりますか?農地よりは公園の方が緑被率は低下しますが、緑被率を何%と見積もっておられますか?
     最後に、最悪マンションでも良いではないですか?ただ、建蔽率を30%以下にして、緑被率を50%i以上にするような建築計画のみ認めるような都市計画決定なり、建築条件を付してみてはどうでしょうか?そのためには高さ制限は緩和する必要があります。でも日影をきちんと規制すれば良いのです。杓子定規な規制を振りかざされると、ろくな建築はできませんから。小さくて見辛い建築図面を提示していただいていますが、高さ制限10mで住戸面積を確保しようとするから、緑が少ししかない、魅力のないプランが出来上がるのです。
     緑にも質がありますが、とりあえず目標とするような緑被率があるならそれを示して、それに限りなく近ずけるようなプランを検討することも一法です。公園よりもdisaster-resilientな防災拠点を建築し、全てのライフラインがストップしても近隣住民が駆けこめるような施設ができるならそれでも良いではありませんか?

    • 池尻成二 2019年12月2日 at 08:53 - 返信する

      コメントありがとうございました。生産緑地法の運用に関するご指摘、それぞれもっともなことと思います。都市施設の一つとして都市計画をかけている以上、それにふさわしい保全と管理の責任が公に発生するのは、ある意味で当然のことです。そのあたりは、この間、ずっと未整理のままであったように思います。今回のこととは別に、大きな宿題です。
      特定の土地に建築制限を付加することは、都市計画のルール上も制度上も現実的ではないと思います。今は、まず区が買い取る決断をすることがすべての出発点です。

  2. yutaka-kida 2019年11月23日 at 05:48 - 返信する

    一般論んで申し訳ありません。

  3. yutaka-kida 2019年11月23日 at 06:26 - 返信する

    i池尻先生の呼びかけにはいつもながら・いいなあ、その通りだなあ、センスあるなあ、という思いに共感させられています。今回の「農地をマンションでなく公園に」の提案もそうですね。いつも自転車であちこ走り回る機会が多いのですが「緑と広い空」を感じる農地ががずっと残されていければなあと思いながら通り過ぎます。ただ農地のまま維持することができずマンション建設の動きに直面しているのだということでしたら、「区が買い取って公園に」という声を大きくすることが大事かと思いますね。前川区長の言う「緑の風吹く練馬」を維持するにはできるだけゆったりした空間が残されてほしいです。寄贈でもない限り税金がかかるのは仕方がないですよ。。「緑と広い空のスペース」「非常時には避難スペース」こういう練馬のまちの姿がやっぱりほしいですねえ。

  4. yutaka-kida 2019年11月23日 at 06:55 - 返信する

    区の税金を使うことになるにしても。買い取った土地は区民全体の共有地として財産として残りますよね。「公園」としてのインフラの役目を果たすのが今はいいと思います。でも、将来やむを得なければ区の公共施設を建てることもできますし、最悪、財政難の時には売却だってやれるわけですよ。税金を商店街の発展に助成金を出すや消費者のお買い物券に回すこともあながち否定はしませんがこれらの多くは消費して消えていきますよね。それに比べて」「公園」に使う土地としての財産に変えておいて、まあ一種の貯蓄に近いと思うのですが、しかも「緑の風吹くまち練馬」に貢献してくれるわけでかなり有効な意味のある税金の使い道じゃないですかね。

    • 池尻成二 2019年12月2日 at 08:55 - 返信する

      ご意見ありがとうございます。おっしゃる通りだと思います。自由な空間として残すことは、とてもユーティリティの高い選択だと思います。お力をお貸しください。

  5. アッキー 2019年12月2日 at 02:12 - 返信する

    法令の壁があるようですが、そこはなんとかクリアさせて、私も公園にした方がいいと思います。
    公園にもいろいろ種類があるようですね。防災公園にすれば、補助金も出るんですかね?
    (うちの近くの防災公園は、かまどベンチや仮設トイレがで設置できるようになっています)
    公園にしておけば、公共施設の建て替えの時に、仮設の建物を建てることができます。

    当然のことですが、地域住民を中心に、区に対して声をあげていかなければ、マンションに
    なってしまいます。静観してはいけません。
    (うちの娘の通う都立高校は、反対運動をしなかったので、道路計画によりグランドがなくなりました)

  6. 池尻成二 2019年12月2日 at 08:55 - 返信する

    区議会に陳情が出され、地域では署名活動も始まっています。ぜひ応援してください。

コメントする