図書館の「指定管理」 その3

区教育委員会は、「委託化・民営化の推進方針と実施基準に即し、練馬区立図書館における指定管理者制度の導入を検討する」ことを目的として、昨年10月から6回にわたって検討委員会を開催、その検討結果を受ける形で1月30日に南田中図書館への指定管理者導入を決定しました。本来なら…本来なら、この検討委員会で、指定管理導入の是非、課題、対応策等が十分に議論・検討されるべきであったし、そうあって欲しかった。しかし、残念ながら、検討委員会の議論はもっぱら指定管理導入に向けた実務的な準備に向けられていたようです。何しろ、指定管理による財政効果の見積もりや利用料金制を適用するかどうかやパブリックコメントなどで寄せられた区民の疑問にどう答えるかは繰り返し議題となる一方で、指定管理者のものとで個人情報の管理はどうなるのか、あるいは指定管理のもとで人材確保や育成は適切に行えるのかといったことについては、まったく議題にも上っていないのです。
それだけではありません。指定管理のあり方を整理する中で、「一次選書は指定管理者がやり、二次選書は光が丘図書館が行う」という業務の整理が示されてきました。しかし、驚くなかれ、「一次選書」とは何か、「二次選書」とは何か、それぞれの選書の体制や範囲、権限はどうなっているのかといった肝心なことは、検討委員会の中ではまったく示されていません。現に区立図書館でこの「一次・二次」の選書システムがあるのならまだ分かります。しかし、ないのです。現在の選書は、各図書館の館長の責任で行われています。つまり、現在のシステムを前提にすれば、南田中図書館では指定管理者が選書を行わなければならないのです。
選書は、図書館の生命です。どんな書籍や情報を収拾し提供するのか。売れている本、人気のある本を集めるだけなら、図書館はいりません。国民の「知る権利」を保障し、ひいては思想・表現・信教あるいは学問の自由などの憲法上の権利を支えるべき図書館にとって、不偏・公正を旨とした質の高い選書はその生命線です。
図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することをもっとも重要な任務とする。」(日本図書館協会「図書館の自由に関する宣言」)
この選書を、営利法人にまで門戸を開放した指定管理者に委ねてよいのか。さすがに、区教委は、それはまずいと思ったのでしょう。そこで「一次」と「二次」という選書の便宜的な仕分けを持ち出してきたのでしょう。しかし、適当に言っておけばすむほど選書は軽いテーマでも簡単な行為でもありません。
図書館事業の核でも基本でもある選書についてすら、まともな説明も検討もしないままに指定管理者の導入だけ決めていくというのは、それこそ泥縄というものです。そしてその陰で危機に瀕するかもしれないのは、「知る自由」の支えとしての図書館の生命であり、まさに図書館の公的性格です。
考えてみれば、検討委員会の目的は「導入について」。つまり、導入の「是非」でも「適否」でもないのですから、端から導入ありきの検討委員会だったということでしょう。しかし、それにしても情けない。検討委員会の資料を情報公開で入手して、こんな「検討」しかできない区の図書館行政スタッフの状況に、本当に寒々としたものを感じました。 (続く)

|2018-11-08T13:34:48+00:002008年6月9日|コメント(0)

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