区立図書館の土台、揺らぐ ~「図書館専門員」の雇用を守れ~

練馬区が、石神井図書館、練馬図書館への指定管理導入に動き出しました。

区立図書館が相次いで指定管理制度に移る中で、この2つの図書館はこれまで光が丘と並んで「直営館」として区みずから管理にあたってきました。それぞれに理由がありました。光が丘は13ある区立図書館の中でも中央館的な機能を持った図書館として。石神井は、区の職員が図書館業務についての経験等を積むための研修のための館として、そして練馬は、非常勤の図書館専門員を主体として管理運営する図書館として。区立図書館に指定管理を導入する際に、区はこの3館を直営として残すことを基本とした考え方を整理し、議会に説明し、また組合とも約束を交わしていました。

石神井、練馬の両図書館を指定管理に移すという今回の提案は、区の図書館施策の大転換です。とりわけ図書館専門員が担ってきた練馬図書館を指定管理に移すことは、これまで区の図書館事業を支える大きな柱の一つであった図書館専門員制度を事実上、否定するものであるだけでなく、多数の専門員の雇い止めにつながりかねないという点で、たいへん深刻な問題をはらんでいます。
図書館専門員は、現在、練馬に32人、光が丘に25人の計57人います。この専門員の皆さんは、「非常勤」という不安定な待遇・身分でありながら、専門性の高い図書館スタッフとして、練馬の図書館行政を支えてきました。区の正規職員は、たとえ司書資格を持っていたとしても、頻繁な異動・配置転換がある中で、そもそも継続的に図書館業務に当たる体制を作るのは容易ではありません。そんな中で1988年に導入された図書館専門員(当初は「協力員」と言っていた)は、「非常勤」といっても契約の更新を重ねており、57人のうち6年以上になる人が29人もいます。20年を超す人も12人もいます。

図書館専門員は、当初は“使い勝手の良い”非正規雇用として始まったようではありますが、しかし、いまでは練馬の公共図書館サービスの土台を支える貴重な専門職集団であり、練馬の図書館事業の継続性、安定性、質の維持向上を支える不可欠の存在となってきました。この専門員の職をどうするのか。専門員が蓄積してきた経験や専門性をどうするのか。
練馬図書館が指定管理に移され民間の事業者の運営に替われば、多数の図書館専門員が職を奪われます。しかし、いくら非常勤とはいっても、区は長年にわたって事実上、無期限に雇用の更新をしてきたのであり、一方的な「雇い止め」は決して許されることではありません。加えて、その貴重な経験や力量が区の図書館事業の中で果たしてきた役割を考えれば、専門員の皆さんを図書館業務から排除することは区の図書館サービスの質を左右する大きな損失です。

この問題は、労使協議が紛糾し、区議会にも図書館専門員の組合から陳情が出されるという異例な事態になっています。これからもとても重要な案件として関わっていくつもりですが、先の決算質疑での質疑をまずはご紹介しておきます。(正式な議事録ではありません)


○池尻成二委員 石神井図書館、練馬図書館の指定管理導入に関連して、まず、お聞きしたいと思います。
7月18日に、光が丘図書館と職員課の連名で、区の職員労働組合に対して、「区立図書館への指定管理者制度の拡充等について」という提案がされたとのことです。組合のニュースにも公に書かれておりまして、また、事前に理事者の方からも内容の説明をいただきました。
提案の内容は、これまで直営館として残すとされていた石神井と練馬の両図書館にも指定管理を導人する。石神井は2020年度から、練馬は2023年度からという内容になっているようで、交渉の期限として1月18日という日付も入っているようです。
労使協議の中での提案ということで、これから協議が進むのでしょうし、予断に当たらないようにということは十分留意しながらでありますが、区として正式に提案を取りまとめられたという局面に立って、この提案に至った背景や趣旨について、可能な範囲でお答えいただければと思います。
今回の提案については、区立図書館のあり方を考えるときに大変重要な提案であると理解します。
公共施設等総合管理計画には、石神井、練馬の両図書館についても記載はあるわけですけれども、石神井については「指定管理制度の導入について検討する」と書いてあります。一方、練馬図書館については、光が丘図書館と並べて「効率的な運営を検討」ということが書かれているにとどまっております。
5年問の実施計画については、いずれの場合もあくまで「検討」という記載なのですけれども、今回、提案された内容を伺う限りは、年次も切って、かつ練馬の図書館についても指定管理の導入に踏み込んだことをおっしゃっているようであります。公共施設等の管理計画からは、一歩、二歩、二歩と踏み込んだお考えを取りまとめられたように理解するわけですけれども、こういう現段階での教育委員会、あるいは所管課・部の考え方について、議会に対して全くご報告がないのはなぜなのでしょうか。
○教育振興部長 まず、先ほど委員からありました公共施設等総合管理計画の各図書館の取り扱いでございます。
石神井図書館については、昨年3月に出しました公共施設等総合管理計画では、「指定管理者を導入する」という記載があります。また、練馬図書館と光が丘図書館については、「効率的な運営とサービスの向上」という記截になっているわけでございますけれども、先ほど委員からもありましたように、平成32年度から石仲井図書館、これは記載のあるとおりでございますが、一方で、練馬図書館については、生涯学習センターとの併設施設でございますので、平成32年度から平成35年度までの間、工事の設計、ぞれから工事施工があるわけでございます。そういうことがありまして、平成35年度からの指定管理者ということでございます。そういうことで、昨年3月に出しました公共施設等総合管理計画の中にはその指定管理者を明示しなかったということでございます。
また、議会へのご報告でございますけれども、この公共施設等総合管理計画そのものが既に議会報告を素案の段階から出して、それでパブリックコメントを経て、さらに報告をして成案となったものでございます。おのおのの取り組みを一つ一つご報告するケースもあれば、そうではないケースもあるものと考えております。
また、さらに本件につきましては、労使協議の対象となっているものでございますので、これについては、そのような対応をさせていただいたということでございます。
○池尻成二委員 労使協議と議会との兼ね合いというのはなかなか難しい話でして、議会の側も節度、あるいは一定の配慮をしながらということは当然あるわけですが、そもそも論として、指定管理者制度の導入は、もちろんそこで当該の労働者の身分収り扱いであるとか、勤務条件等にかかわることでありますから、労使協議事項になるのはしごく当然なことではありますが、そもそもの話として、指定管理というのは、議会の議決を経て指定管理制度の導入をしなければいけないという最優先の議会事項でもあります。
総合計画、管理計画、基本計画、実施計画等で頭出しがなかった、あったという議論はある意味では水かけ論になるかもしれませんが、少なくとも練馬図書館について指定管理の導入に踏み込む提案をなさるのであれば、これは重要な図書館管理運営の変更です。
これについて、もう7月の提案ですから、2か月以上たっている。議会に対して一言もなくやり過ごしたことについて私は大変遺憾であるということは申しあげておきます。
実はこの提案の問題の大きさは二つありまして、一つは、これまで、先ほど他の会派の質疑にもありましたけれども、直営館3館体制という、この問、10年来続いてきた区立図書館の基本的な管理運営の考え方、これは労使の中でも確認書を交わしていらっしゃるようですけれども、その人きな変更であることが一つ。
もう一つは、練馬図書館の場合には、そこで働いていらっしゃる非常勤の専門員の身分収り扱いという非常に重要な問題をどうしても惹起するわけです。
確認ですけれども、まず、お聞きしたいのは、今、練馬区の図書館専門員は、主任の方も含めて、何人いらっしゃって、練馬図書館には何人お勤めか、教えてください。
○光が丘図書館長 図書館専門員でございます。非常勤職員でございます。
合計57名でございます。うち光が丘図書館25名、練馬図書館に32名でございます。
○池尻成二委員 練馬図書館について年次を切ってご提案をなさったということは、当然ながら、この32名、練馬図書館にいる32名の非常勤の専門員の方の身分取り扱いについての一定の考え方はお持ちでしょう、全くそれが白紙で練馬図書館の指定管理を提案することはさすがにできないだろうと思うのですが、先ほど部長は専門員の方のお力なり、貢献については高く評価する旨のご発言があったように記憶しております。
そういうことも含めて、練馬図書館に指定管理を導入した場合に、この非常勤の皆さんについてはどういう対応をしようと、基本的な考え方で結構ですので、お考えか教えてください。
○教育振興部長 他会派においてもお伺いいたしておりますけれども、図書館専門員の今までの役割、それから今後の役割についても、区としては非常に重要視しているところでございます。したがいまして、指定管理者をもって解雇するとかという発想は持っておりません。
しかしながら、一方では、これからの身の振り方、処遇については労使協議をしていくという内容でございますので、その活用先については答弁を控えさせていただきます。
○池尻成二委員 解雇するということは、実は非常勤は1年ごとに実際には解職されているわけですけれども、専門員についてはもう20年以も働いていらっしゃる方が複数いらっしゃるという、非常に歴史的にも蓄積のある専門職です。それについては解雇することはない、それから、力を生かす、このご答弁は大事な答弁なので、ぜひそれをしっかりやっていただきたい。
ただ、そのうえで、どうしても聞きたいことはいくつかあるのですが、先ほど別の方の質疑の中で、部長は、会計年度任用職員のことを引用されました。
これは人事関係の方のお答えをいただくことになるかもしれませんが、確認ですけれども、今、図書館専門員は特別職の非常勤です。図書館専門員は特別職の非常勤のままでとどまることができるのかどうか。
また、もし一般職に移るとしたら、それは会計年度任用職員になるのか、あるいは、また、例えば正規職員としての採用になるのか。考え方の整理をされているのでしたら、お答えください。
○職員課長 現在、検討状況でこざいますけれども、私ども、会計年度任用職員への職の移行、こういったことにつきましては、区の任用実態、また、職を今まで設置してきた歴史もございます。当然、総務省のマニュアルもある。さらには、特別区全体の検討も加味して、これは判断しなければならないと考えてございます。
こうした考えに基づいて、現在、移行すべき職を検討している段階でございます。
○池尻成二委員 少し不思議なのですけれども、地方自治法の改正を受けて、新たに、今、会計年度任用職員という非常に人きな制度改正が入る。これは特別職の整理、職の再設置というとても大きな課題をはらんでいるわけですけれども、これについて、個別、図書館専門員に限らず、全般的に、具体的な職の設置の方針はまだ整理していないということですよね。いいのですね、それで。
職員課長 現在、検討している段階でございます。
○池尻成二委員 これは教育振興部長にお聞きしたいのです。
身分取り扱いが法律の改正に伴って大きく変わるのが再来年4月です。その制度改正に当たって、図書館専門員はどう身分取り扱いを変えるのか、少なくとも特別職の図書館専門員は廃止になります。なるでしょう、これは。
では、それにかわってどうするのかということについて、人事所管が「ただいま検討中」と言っている段階で、なぜ、練馬図書館の指定管理を提案できるのですか。
○教育振興部長 ただいまの件でございますけれども、会計年度任用職員制度の導入が平成32年に予定されておりますが、一方で、先ほど申し上げましたけれども、練馬図書館は、改修工事が、平成32年度から平成34年度にかけて設計工事が行われます。
その際には、どうしても過去においての事例もそうですけれども、その図書館の業務を縮小する必要が出てまいります。そうなりますと、その図書館専門員の活用の仕方、また、活躍の仕方にかかわるわけでございまして、そういった意味で、私どもはこうやって事前に交渉に臨んでいるものでございます。
いずれにしましても、練馬図書館につきましても、石神井につきましても、未定で、指定管理者の条例をおのおの出して、そしてまた第四回定例会で議決をしていただく、これについては一切変わりございません。
○池尻成二委員 改修に当たって職の配置、人員配置をどうするかは避けられない議論です。大事な議論です。ただ、今問題にしているのは、改修後に指定管理を導入するのでしょう。指定管理を導入すると、これは短期的な問題ではなくて、某本的に図書館専門員の職がなくなるわけです、練馬図書館については、練馬については。
そのときに、では、図書館専門員の力を生かしたい、解雇はしないとおっしゃるのであれば、図書館専門員の身分取り扱いを、職の設置をどうするかの提案がなければだめでしょう。
その方針について、人事は検討中と言っているのだから、検討中の段階で、なぜ図書館専門員の解職を前提にしたような練馬図書館の指定管理の提案ができるのですか。
これは明らかに稚拙です、稚拙。提案に値しないような曖昧さをいっぱい持っています。どうですか、部長。
○教育振興部長 ただいま申し上げましたけれども、この制度については、人事当局とも十分協議をしてまいります。また、しておりますし、まいります。
また、一方で、先ほど申し上げましたけれども、改修丁事のときには規模が縮小されます。通常の図書館業務はできません。そうなると、例えば現在32名いる図書館専門員はある意味では、全員が勤務する状態ではなくなるわけでございます。
そのようなことの待遇も保証しなければならないということでございまして、私どもとしては、現在、提案をしているものでございます。
○池尻成二委員 繰り返しのご答弁だったので、大変、私としては一貫性を欠いた説明責任の乏しい提案だと思います。これは意見として申し上げます。

|2018-11-01T15:11:35+00:002018年11月1日|コメント(0)

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