危ういコンプライアンス ~図書館の「防犯カメラ」(その1)~

1月8日、東京新聞の朝刊に、こんな記事が掲載されました。

『防犯映像 市民に見せる 練馬区立図書館 不審者や置引 確認頼まれ5件』
東京都練馬区立図書館が、防犯カメラの映像を一般の人の求めに応じて見せるなど、区の条例や規程に反したずさんな運用をしていたことが分かった。…
→記事全文は こちら

練馬区立図書館で、防犯カメラの画像データが条例に逸脱して外部提供された。そんな趣旨の記事です。記事が問題にしている「条例・規定違反」は大きく3つ。
①外部提供の前提となる「捜査関係事項照会書」が提出されていないケースがある
②「照会書」がある場合でも、本来、事前に提出を求めるべきにもかかわらずほとんどすべてが事後になっている
③捜査機関の者ではない一般の利用者に、防犯カメラの映像を見せているケースが三分の一に上った
記事が丁寧に紹介している事例は、私が開示請求で入手した資料を基に整理されたものです。これらの事実は、区立図書館のコンプライアンス、法令や規範を遵守する意識や規律が深刻な危機に瀕していると感じさせられます。コメントを求められた私も、「個人情報保護条例すら守れない図書館の現状に強い危機感を感じる」と述べたのです。

しかし、この記事に対して区は今、“反論”しています。ほぼ全面的に。

区の図書館全般を管理する光が丘図書館の管理係長が、東京新聞の報道に関して各館の館長などにあてたメールを出しています。今日、提出を受けました。そこには、「問合せが入った場合の対応例」として、こう書かれています。

Q1 一般人に映像を見せたことについて、図書館として適切であったと思うか。
A1 一般人といっても、事件の被害者である。基本的に警察官とともに映像を確認している。各館長が、緊急かつ、やむを得ないと判断したことについては、適切であったという認識である。
Q2 捜査関係事項照会書は事後でよいのか。
A2 事前が原則であるが、緊急性等を踏まえ、現場責任者が判断している。例外的に事後になる場合もある。

はたしてこの“反論”に道理はあるのか。それともそれは、区のコンプライアンス危うさをいっそう際立たせるものになってはいないのか。このことを検討するために、まず、そもそも区は防犯カメラ映像の「外部提供」についてどのようなルールを定めているか、整理をしてみます。(続く)

|2020-01-15T22:06:24+09:002020年1月15日|コメントはありません

コメントする