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消える書店

 西武池袋線の大泉学園駅の改札は、2階にあります。その改札を出てエスカレーターを北口に降りると、目の前に本屋さんがあります。英林堂書店。駅前至近の場所でもあり、立ち寄ったことのある人はたくさんいるはず。その英林堂書店が、この8月末で閉店するそうです。
 ローカルな駅前の書店としてはとても幅の広い品ぞろえに加え、店主のこだわりが伝わる配架など、ひいきにしていた人も多かったはず。私も、たびたび利用させてもらいました。ある意味で、大泉学園駅北口の“顔”を形作る書店でした。閉店、とっても残念です。
 貼り出されていた告知によると、閉店の理由は「経営者高齢と後継者不在のため」だとか。しかし、先々の見通しと、日々の経営に希望があれば、後継がおのずと生まれるのもよくある話です。書店全般を取り巻く環境の厳しさもあるのでしょうが、もしかしたら大泉学園駅北口の再開発の動きが引き金を引いたのかもしれません。
 再開発では、駅の改札からデッキを通って、現在、建設中の大型店舗の入る再開発ビルへつながり、その再開発ビルの下にバスセンターやタクシー乗り場が設置されます。今は改札からエスカレーターや階段を使って英林堂のある方へとほとんどが流れていくその人の流れが、大きく変わる可能性が高いのです。経営環境としては、厳しい変化かもしれません。同じような不安の声は、商店街の中からはしばしば聞こえてきていました。街が姿を変える、とりわけ駅前のように変化の激しい地域が姿を変えるのは、避けられないことでもあるでしょう。しかし、何を残しどんな顔つきのまちにしていくか、よほどしっかりした考え方や意思がないと、街はどんどん崩れてしまいます。一つの書店の閉店に、この地域のまちづくりの明日を考えてしまいます。
 そうそう、英林堂の2階にあった喫茶店も閉店です。経営者が同じ方です。この喫茶店も、今時珍しい“喫茶店らしい喫茶店”で、本当によく使わせてもらいました。
 駅前のビルの1階2階、次にどんな店舗が入るのかはわかりませんが、名残惜しい限りです。

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