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“水”を楽しむ

 23日、練馬まちづくりセンター主催のまちづくり講座に行ってみました。今年度第1回目の講座で、テーマは「まちを流れる湧き水と雨水の楽しみ、白子川流域の魅力」。講師は、東京理科大名誉教授の鈴木信宏さんです。
 なかなか刺激的でした。これまでも、白子川の整備計画を巡る議論などの中で、川をいかに身近で親しみのもてるものとして取り戻していくかということはいろいろ考えてきたつもりでした。しかし、白子川それ自体の形状や利用のあり方を通して川と地域のつながりを作りなおしていくというイメージは、実はなかなか広がらないものです。白子川は、区内に発する川で、その水源は基本的に流域から流れ込む湧水群です。当然、たとえば山間地に豊富な水源をもつような川と違って、水量も限られ、川幅も数メートルしかないような小さな川で、川それ自体を人々が楽しんだり暮らしに活かしたりする知恵や工夫はどうしても限られてしまいます。
 しかし、ものは考えようです。身近な湧水が水源となっているということは、川と地域をつなぐ“水道(みずみち)”が、地上に、地下に、様々に通っているということでもあります。雨水が下水管に飲み込まれ、川にそのまま捨てられるのではなく、もし雨水を「ためてゆっくり流す」ことができれば、そこに“水道”が姿を現し、「水がたまること、緩やかになることで出会いが生まれる」。白子川だけ見るのでなく、白子川に水を流す流域全体を視野に入れ、流域に、あるいは多摩の高台に降った雨が、ときに地を伝い、ときには地下水脈となって川にたどり着くまでのあいだを「ためて、ゆっくりと」することで、水との出会いや触れ合いが広がっていく。そのことを、鈴木先生は「水を楽しむまちづくり」といった趣旨でお話しされました。それはまた、短時間に集中的に河川や下水道に水が流入することから生ずる都市型の水害を回避・緩和する大きな力にもなるはずです。
 具体的なアイデアや実践も、いろいろと紹介されました。家の中に水を引く「室内雨池」、さまざまな「浸み込ませ」の工夫、生き物が活気づく水のたまり場「生態湾処(わんど)」、河川管理用通路に水を走らせる「せせらぎ道」…。とくに、川べりにある和光第五小学校を拠点にした「楽しみ」づくりの構想は、とても魅力的でした。
 白子川沿いにある学校といえば、練馬でいえば八坂小・中はその典型です。「水」のたのしみをふんだんに引き出せば、この両校の魅力は格段に増すに違いありません。 いや、「水」は、練馬全体にとってもシンボリックなテーマです。練馬を「水を楽しむまち」としてデザインしてみる…いいですね。「アニメ」もいいけれど、「水」もね。「農」や「みどり」は、「水」とともに、ね…どんなものでしょう?

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