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扉はどこまで開かれるか? ~インクルーシブ教育と学校教育法~

 今日6日の毎日新聞朝刊が、「障害児教育:普通学校通いやすく 文科省、従来の施策転換」と報じています。

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 記事によると、「学校教育法施行令は、一定程度以上の視覚や聴覚、知的障害を持つ子供は原則、特別支援学校に就学すると決めており、教育委員会が認めた場合に限り例外として通常の小中学校に通うことを認めている。文科省は今年度、同施行令の改正を目指し、教委が本人や専門家の意見も聞きながら就学先を柔軟に決める仕組みにする」とあります。もしこれが事実なら、たいへん大きな意味を持ちうる動きです。
 「インクルーシブ教育」という言葉が官公庁の語彙の中に当たり前のように登場するようになり、在籍する学校=場所を区別することではなく「個に応じた支援」が特別支援教育の理念として語られ、障害を持ちながら通常級に在籍する子どもたちが確実に増えてきているとはいえ、法令と制度の枠組みとしては、現在も“場の分離”は学校教育の基本として維持され続けています。その象徴となっているのが、学校教育法施行令第5条です。

(入学期日等の通知、学校の指定)
第5条  市町村の教育委員会は、就学予定者…で次に掲げる者について、その保護者に対し、翌学年の初めから二月前までに、小学校又は中学校の入学期日を通知しなければならない。
一  就学予定者のうち、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者又は病弱者(身体虚弱者を含む。)で、その障害が、第22条の3の表に規定する程度のもの以外の者
二  視覚障害者等のうち、市町村の教育委員会が、その者の障害の状態に照らして、当該市町村の設置する小学校又は中学校において適切な教育を受けることができる特別の事情があると認める者(以下「認定就学者」という。)

 限られた「認定就学者」については例外が置かれましたが、基本は、一定の障害がある子どもたちについては通常の小学校又は中学校の学校指定と入学の通知を行わないという仕組みです。この基本がある以上、就学相談は常に就学判定とセットとなり、そして教育委員会の就学措置は“分離”、つまり障害のある子どもたちは特別支援学級・学校へ就学すべきという判断を常に背景にしたものにならざるをえませんでした。報道が事実なら、この施行令が見直されることになります。報道が事実かどうか、また見直されるとしてその内容や範囲はどうなるのかはまったくわかりませんが、大いに注目したい動きです。

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