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住民同意の重み、まざまざ ―関越道高架下の「活用」計画―

 関越道高架下を「活用」して高齢者センターなどを整備しようという区の計画は、どうなるのでしょうか。
 高架下の「活用」について、区がその考え方をおおやけにしたのは2010年1月。それからもう4年半が経ちました。区と区議会与党は、ときに強引なやり方に訴えてまで事態を動かそうとしてきましたが、必ずしもその思惑通りには動いていないように見えます。その最大の理由は、肝心の関越道沿道を中心とした地元住民の合意がまったくと言ってよいほど整っていないことであり、さらには「高架下」に高齢者施設などをつくるという考え方自体が区民の共感をなかなか得られないでいるという状況があります。
 高架下の利用は、高速道路を管理する国・債務保有返済機構、そして道路の日常的な管理にあたるNEXCOなどからすれば、その管理空間の占用を許可するという行政処分に当たります。本来、道路区域として都市計画決定された場所を都市計画事業以外の目的で占用させるのですから、それ相応の合理的な目的と、何より許可処分に関わる関係者の合意が欠かすことができません。だからこそ、練馬区との協議の窓口となってきたNEXCOの責任者は繰り返し、許可申請の際には「地元住民の合意があるかどうかを示す資料」を求めると言明してきたのです。

     ➡高架下」に地元住民の合意はあるか?

 この問題では、ここのところNEXCOと地元住民との話し合いが断続的に行われています。NEXCO東日本・管理事業部の調査役が対応しており、昨夜も話し合いがもたれ私も参加してきました。住民の疑義、要望は多岐にわたるのですが、昨日の話し合いで焦点になったのはこの「住民合意」問題でした。地元住民、とりわけ許可処分の影響を直接に受ける沿道住民の合意がないままに許可をするようなことは許されないという住民側の強い思いに対して、NEXCOが機構との協議のうえで示してきた答えはこういうものでした。
 「区に対して、賛成反対の別なく、住民の理解を得る努力を求めている。本申請にあたっても、住民の意見の集約を要請していく。」
 補足の質疑の中で、住民の理解を得る努力はこれからも求めていくこと、意見の集約とは合意・不合意も含め住民の意見がどのようなものであるかを客観的に示すものであること、沿道住民の合意状況についての報告も当然に含まれるべきことが確認されました。つまり、練馬区は、本申請にあたって沿道住民が合意しているか否かについて資料を以て報告することを求められるということになります。
 住民合意については、直接に高架下の占用許可基準に定められたものではありません。したがって、合意状況についての報告は、法令で直接に義務付けられているというものでもありません。NEXCOは「もし出されなかったら、出されなかったと機構に報告する」と言っていましたが、しかし、公の自治体が許可権者の正式の要請を無視して手続きに入ることはいくらなんでもないでしょう。いや、あってはならないことです。
 練馬区はどうするのか。沿道をはじめとした地元住民の合意がないままに許可申請に入るのか。もし、合意がないままに申請がなされた場合に、それでも機構は許可するのか、出来るのか。とても重い課題です。

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