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「事業仕分け」

 来年度予算編成に向けた「事業仕分け」が、大きく報道されています。なるほど、こういうものなんだ、「事業仕分け」というのは…それにしても、仕分けに乗せられた事業、そしてわずか1時間足らずの会議で廃止や削減を「評決」される事業の関係者、それは決して当該事業の主管官庁だけではなく、むしろその事業の現場にかかわる様々な当事者たちでもあるのですが、それらの関係者たちはどんな思いでこの「仕分け」を見守っているのでしょう。
 事業を広く、予断なく、洗い直す作業は不可欠です。しかし、誰が、どんな視点に立ち、どんな手順で洗い直すかによって、この作業の意味も意義も大きく変わってきます。そして、少なくとも昨日の「仕分け」を見る限り、評価者の人選は不透明であり、評価の視点はしばしば表面的であり、その方法はパフォーマンスに流れていると感じるところが少なくありませんでした。ある役人が「公開処刑」だと言ったとか。ふむ、わからんではありません。
 たとえば、文部科学省の「子どもゆめ基金」。これは、2000年に設立されたもので、国庫支出を主たる財源として約100億円の基金が積まれました。もともとはこの基金の運用益で民間団体の活動に助成するという趣旨だったのですが、低金利で運用益が出ず、毎年、20億円ほどの事業費を別途、予算立てし、それを原資にして事業を続けてきたものです。
 昨日の「仕分け」では、この基金の解散だけでなく、助成事業自体の廃止が「評決」されました。 この事業で、昨年度も2200以上の事業が補助を受けています。「子ども」の読書や体験活動を支える事業です。民間の力を生かした事業です。実情の精査は必要であるにしても、趣旨からすれば、大切にされてよい事業でしょう。それが、なんともあっさりと「廃止」です。
 本当によかったんでしょうか?
 基金を解散すれば、積み立てられていた100億円という財源が一気に国庫に戻ります。なるほど、財源確保という点からすれば、これはたいへん魅力的な話です。また、国の事業としては珍しい民間、それも多くは市民活動への補助ですから、たとえば自治体への交付金や業界への補助金などと違って、廃止されても、大きな抵抗は起きないのかもしれません。そうした意味では、補助額が20億円を超すとはいえ、“切りやすい”支出ではあるでしょう。しかし、それだけで「仕分け」されたとは思いたくはありません。
 、「仕分け」は「仕分け」として、最終的な予算編成の一つのステップでしかないようですから、どのくらい深い事業評価があったのか、しっかりとみきわめてみたいと思います。

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