練馬区議会・天皇即位の「賀詞奉呈」について

練馬区議会は、第3回定例会最終日の10月11日、新天皇即位に当たって「賀詞奉呈」することを決議しました。「賀詞」の全文は、以下の通りです。

天皇陛下におかせられましては、風薫るよき日に 御即位されましたことは、まことに慶賀に堪えないところであります。
天皇皇后両陛下が御清祥であられ、令和の時代が悠久の歴史に新たな希望と光を添えるものとなりますよう心からお祈り申し上げます。
ここに練馬区議会は、謹んで慶祝の意を表します。

「賀詞奉呈」決議は本会議で採決となり、賛成多数で可決されました。私の所属する市民の声ねりまを含む、8人の議員が決議に反対しました。
本会議の場では特に討論はありませんでしたが、それに先立つ議会運営委員会では決議の趣旨等に関してやり取りがあり、私も、決議案の意味を明らかにするために質疑をしました。そのやり取りを以下に採録します。決議の提案者を代表して、自民党の小泉委員が答えています。(録音から起こしたもので、正式な議事録ではありません)

池尻:私の方からもう少し二、三お聞きしたいこともありますんでお時間いただければと思います。決議案を拝見しまして、まずお聞きしときたいんですけども、「奉呈」という言葉の意味をちょっと整理をして欲しいんですが、お願いできますか?
小泉: 古来から文学的な表現と言いますか、で言いますと、「謹んで貴人に差し上げる」という風な意味が含まれております。そうした意味を含めたですね、奉呈という文言になってるわけでございます。
池尻:謹んで貴人、貴人というのは貴い人ということですが、貴人に差し上げるという意味だということで、意味についてはわかりましたが、一般的な市民生活の中ではほとんど使われることの無い最上級の敬語で、今小泉委員がおっしゃった様に、貴人に対して物を差し上げるという独特な関係性の中での用語だという風に理解をしました。これは確認として申し上げておきますが、もう一点は「悠久の歴史」というのが出てくるんですが、この「悠久の歴史」って何のことを言ってるのかなとこれもよくわからない。ご説明いただければと思います。
小泉:「悠久」というのはいろいろと考え方はあるんですけれども、言葉の正しい意味という形で言えば、果てしなく長く続くという、そういう意味が文言の意味として受け取れる訳であります。
池尻:申し訳ない。「果てしなく長く続く」というのは、何が続くということを含意してお書きになっているんですか?
小泉:ほとんどの方はお分かりだと思うんですが、天皇制、天皇家の歴史、今回126代になられる。そうした日本国の象徴としてのですね、天皇家が続いている。これは世界史的にも例のないことになっているわけですね。そうした意味を含めて申し上げているわけでございます。
池尻:丁寧なご説明をありがとうございました。会派としては、議長からお話をいただいた経緯もあって、本当に慎重に議論をしてきたつもりです。改めて、これは憲法にも関わるお話なので、憲法も読み直して会派でも少し意見交換をしてきました。皆さんよくご承知の通り憲法は天皇を日本国並びに日本国民統合の象徴と定めておりまして、そのことについては私たちも、当然ながら憲法の規定として尊重しなくちゃいけないと思っております。 ただ他方で同じ憲法は、この象徴としての地位はあくまで主権者である国民の総意に基づくという規定も入っております。これも大事な規定でして、主権者があくまでも国民であること、それから少なくとも今の日本のこの国においては、主権者である国民こそが歴史を作る主体であることというのは大事な憲法上の原則であると思っております。その原則がきちんと踏まえられるかどうかということは私としては大事な視点として押さえておきたいということで会派としては整理をしました。もう一点は、今回の退位・即位の一連の経過については、特に信仰上の理由などから、天皇制の在り方について疑問を表明していらっしゃる方も少なからずおられるようです。そうした人たちの思いについてもしっかり受け止めながら、文字通りの総意を作り上げていくという、そういう努力については丁寧に丁寧にやっていく責任が、特に議会にはあるだろうと思います。今回議会内でもいくつかの会派からはこの決議をあげることについて疑義も出されていたというふうに聞いておりまして、そういう状況の中であえて決議を行うことについては、特に天皇の問題の取り扱いとしては好ましくないのではないかということも感じております。こうしたことを踏まえて、本会議場では意思を表示させて頂きたいと思っておりますので申し上げておきたいと思います。

賀詞の文案、そして提案者の説明を踏まえれば、憲法の主権在民、あるいは法の下の平等という大原則に照らして「賀詞奉呈」は少なくない問題をはらんでいる。これが、私たちが反対した理由になります。なお、共産党は決議に賛成しました。賛成に至った認識を、同じ議会運営委員会で島田委員が発言をしていますので、その部分も紹介しておきます。

島田:この問題についての私たちの立場を述べさせていただきたいというふうに思います。私たちとしては2004年に党綱領を改定し、天皇条項を含め日本国憲法のすべての条項は厳格に守るということを表明いたしました。これは天皇の制度が戦前と戦後で大きく変わっていることやま日本国憲法において主権が国民であることが明確であるこに加え、憲法の4条にある天皇の権能について国政に関する権能を有しないと明確に述べられているためです。その上で、練馬区議会における賀詞決議案については、この憲法の立場から慎重に検討いたしました。その結果、憲法上の制度である天皇の制度について即位や慶事弔事などの際には儀礼的な敬意を持って対応することはあり得ると考えます。同時に憲法の国民主権の精神に照らして、天皇を過度に賛美したり、賛美を強制することはあってはなりません。この点で今回示された賀詞決議案は、全体として憲法に合致していると考えております。以上です。

共産党が決議に賛成、また立憲民主党は4人のうち3人が賛成、1人が反対ということになり、いわゆる野党会派の中でも賛否が分かれることになりました。
難しいテーマですが、政治家として、また国民の一人としてしっかりと考えなければならないことでもあります。まずはご報告まで。

|2019-11-05T12:26:46+09:002019年11月5日|コメントはありません

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