石神井「再開発」は“適法”か③ ~地区計画は何を決めたのか~

都計審の部会で大変厳しい指摘が相次いだのは、裏返して言えば、地区計画や景観計画の趣旨や意図が明確である、動き出そうとしている再開発計画とは相いれないくらい明確であるということでもあります。あらためて整理をしてみます。

地区計画は、もともとの地域地区の高さ制限をさらに厳しくする形で、地区ごとの高さの上限を決めました。その内容は、以下の図でよくわかります。この図は、地区計画の前提となった『石神井公園駅南口まちづくり計画』にも、地区計画を議論した都市計画審議会の資料にも掲載されています。
ここで大切なことは、
①もともとの高さの規定(高度地区)をさらに制限する方向での計画であること
②一方で、斜線制限等を緩和することで、容積率が消化できるような仕組みとセットに考えられたものであること
③全体として、石神井公園から駅に向かっての緩やかなスカイラインを形成することが目的となっていること
です。この図面には「通風・採光を確保し、駅から公園に向かって徐々に建築物の高さを抑えながらスカイラインを整えるため、地区ごとに建築物の高さの最高限度を定めます。」という説明がついています。

この地区計画が定められたのは、2012年5月。それに先立ち、区は2009年3月に石神井公園駅南地区まちづくり推進協議会を招集し、地域の商店街や関係者と地区計画に向けた議論を深めていきます。この地区計画策定に向けた動きとちょうど同じ時期、景観計画と景観条例についての検討が、区の内部で進められていました。景観計画の素案が議会に示されたのが、2010年の7月。計画が正式に決まったのは2011年8月になります。また、国の景観法を受け、あわせて景観計画を担保することを目的として景観条例が制定されたのが、2011年3月。施行が翌2012年の3月です。この景観計画の議論の中では、「区の景観まちづくりを先導するため、公共性が高く多くの人々がその景観を享受するシンボル的な地区」として「景観まちづくり地区」を指定すること、具体的には練馬駅南地区と石神井公園周辺地区の二つの地区を指定することが固まっていきます。さらに、石神井公園周辺地区については、当初は公園一帯を中心としたエリアでしたが、議論の中で駅周辺も取り込んだ区域へと拡大されていきます。これが、地区計画に向けた駅周辺の議論の進捗を踏まえたものであることは明らかです。

景観計画では、石神井公園周辺地区の景観形成基準を詳しく定めていますが、その中で「駅周辺商業区域」の「高さ・規模」に関する基準として、こう定めています。

  • 周辺の建築物群のまちなみとの調和を図り、著しく突出した高さの建築物は避ける。
  • 石神井公園からの眺望の中で突出しないよう高さを抑える

上に示した「スカイライン」についての地区計画の考え方が、この景観計画のそれとしっかりと符合していることは容易に理解できるところです。だから35mなのです。35mは35mであって、これが100mなどになれば、景観計画の趣旨も、スカイラインの考え方も、根底から崩れてしまいます。

地区計画や景観計画を前提にすれば、103mもの再開発ビルは、どう考えても“無理筋”の話なのです。都計審・景観部会の専門家たちがほとんど異口同音に疑義を呈したのは、きわめてまっとうで自然の成り行きでした。

|2019-10-22T21:42:57+09:002019年10月22日|コメントはありません

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