練馬は議会改革の後進区?  ~23区の区議会実態調査から~ 

区議会は決して身近には感じられていないのではないか。議会や議員がしっかり仕事をしているとは思われていないのではないか。議員の一人として、とても危惧しています。区議会の力を高め、身近でいきいきとしたものにしていくためには、二つのことが欠かせません。ひとつは、一人一人の議員や会派がよく勉強し、地域や区民の皆さんとしっかりつながり、行政に対抗できる議論の力を持つことです。そしてもう一つは、議会の運営が、どれほど自由闊達な議論を旨とし、また開かれた形で行われているかということです。この二つの課題に取り組むのが、本当の意味での議会改革です。
今回、区議会事務局に依頼し、東京23区のすべての区議会でどのような運営がされているか、いくつかの項目を選んで調査をしました。結論から言えば、練馬区議会は「議会改革」の後進区になってしまっています。

失われる緊張感、低下する議会・議員の力量

▢形式化する本会議・一般質問

議会が議会としての意志を公けに決める場が、議員全員が参加する本会議です。議会の会議と言えばまず本会議であり、議会の権威や正当性はまずこの本会議で確認され、議会運営のルールも議会の構成も、全てこの本会議で決まります。全ての議案は、まず本会議で上程され、そして最終的に、本会議で議決に付されます。
練馬区議会の場合、年4回召集されるそれぞれの定例会のなかで、だいたい5回から6回の本会議があります。この本会議のいわば“華(はな)”と言えるのが一般質問です。個々の議案などの質疑と違い、一般質問では、その名の通り区政全般について取り上げることができます。何をどう取り上げるか。それぞれの議員・会派の個性や信条、目標、そして力量がそのまま現れる機会です。だからこそ“華”なのですが、しかし、この一般質問が聴いていてどうもつまらない。そんなご意見を、傍聴した区民の方からたくさん頂きます。

一般質問が何とも形式的でつまらないやり取りになってしまっている大きな原因は、事前通告制と総括質疑方式にあります。練馬区議会では、質問項目や骨子どころか質問全文を事前に理事者に渡す慣例があります。この通告制は、理事者が十分に練られた充実した答弁をできるようにするためのものだったはずです。しかし実際には、理事者が通り一遍の美辞麗句や無内容な答弁でやり過ごす準備に充てられている感さえあります。加えて、すべての質問を読みあげまとめて答弁するという総括質疑になっているため、いよいよ質疑は緊張感を欠き、深まりのないものになってしまいます。一つの項目について質疑を重ねることが可能な一問一答方式とは、大きな違いです。

23区を見回すと、すべての区が総括質疑方式を取っており、一問一答の区議会はありません。一問一答だと、議員も理事者もたいへんではありますが、しかし、多摩の自治体や全国の議会では、一問一答に移っているところも少なくありません。練馬でもぜひチャレンジしたいものです。

▢議員泣かせの委員会運営

本会議の一般質問や討論が“華”だとしたら“実”を結ぶ場が委員会です。

議会にかけられる議案は、大半はいったん委員会に付託されます。予算・決算、条例案のほか区民から出された請願や陳情もそうです。委員会での質疑や審査は、議会の議論を深め、実りあるものにしていくための鍵となります。
委員会では、本会議と違って自由度の高い質疑の形が保障されています。予算・決算の委員会は会派ごとに時間制を取っていますが、質問の内容や材料など、議会・議員の側の裁量や工夫が反映される余地がたくさんありますし、その他の常任・特別委員会は、ほぼ自由な質疑が可能です。
委員会ではまた、正式に議会に上程された議案などのほかに、区の行政執行のあり方に関する調査が行われ、理事者(区当局)から様々な報告がなされます。これらの報告は厳密にいえば議会の議決を必要としないものですが、区の仕事が公けにされ議会のチェックを受けるとても大切な機会になります。

その委員会の運営についても、23区の状況を調べてみました。結論は――やっぱり練馬区は遅れている!! ということです。何より問題は、議員が委員会に出される資料の内容を事前に知ることが全くできないということです。

23区で見ると、例えば議案の新旧対照表はほとんどの区が委員会の前日以前、早いところでは議会が開会される前に渡されています。委員会の資料も、委員会の前日以前に委員に渡される議会が多数です。ところが、練馬は対照表は議案の審査の当日、案件に関する資料も当日、議席について初めて見ることができるという状況です。膨大な資料を初めて見ていきなり質疑をしろと言われても、充実した効果的な質疑を組むなど極めて困難です。これこそ議会がみずからのチェック機能を貶めている典型です。

主権者=区民は置き去り 傍聴者ないがしろの委員会

主権者である区民が議会に接するもっとも手近な機会が「傍聴」です。ところが、この傍聴する区民に対する議会の対応がなんとも不親切。傍聴に行くとよくわかるのですが、何が議題かを書いた案件表もくれない。もちろん、議論されている資料は傍聴者には配布されないし、閲覧もできない…。

今回の調査では、傍聴者にも資料を配布したり閲覧用の資料を置いている議会が23区中14区もあることが分かりました。大半の区議会が、案件表を傍聴者に配布しています。案件の事前公表をしている区も14区あります。練馬区議会の場合は、委員会が終わった後でも、資料は事務局に行かなければ見られないし、自分でコピーをとるしかありません。しかし、ほぼ半数、11区の区議会ではインターネットで会議録だけでなく資料も公開しています。

今回は調査しなかった他のテーマ――議会の中継とか陳情・請願の取扱いといった点でも、23区の区議会でもさまざまに進んだ取り組みが始まっています。練馬区議会の立ち遅れは隠しようがなく、議会改革に向けたすべての議員・会派の真剣な努力が求められています。

~『いぶき』№72 (2018.11.20発行) から転載~

|2018-12-08T19:30:26+00:002018年12月8日|コメントはありません

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