練馬区だけが、背を向け続けるのか? ~児童相談所の区移管~

区議会での予算質疑のレポート、続けて「子ども家庭費」から。

2月の議会で、私がかなりの力を割いて取り上げたのは「児童相談所の区移管」問題でした。以前の記事(こちら)でも触れましたが、児童福祉法が改正されて23区も児童相談所を設置できるようになり、他区では設置に向けた検討が進んでいます。板橋区、江戸川区は、早くも2018年度の予算で施設整備に向けた経費を盛り込みました。保育所の待機児童対策と並んで、都、23区の児童福祉行政における最大のテーマになっていると言ってもよいでしょう。

児童相談所の区移管問題については、一般質問でまず取り上げ、続いて「財政計画・都区財政調整」のところで踏み込み、最後に子ども家庭費でやりました。限られた持ち時間の中でこれだけ取り上げたのは、理由があります。一つは、もちろん児童相談所の区移管が区の児童福祉行政にとってとても大きな課題であることです。しかし、それ以上に、この問題は前川区政がいかに乱暴にそれまでの区の方針をひっくり返し、どれほど独り善がりの立場に陥っているかを、まざまざと私たちに教えてくれています。

つい数年前まで、練馬区は区長以下、教育長も所管の部課長も、皆こぞって、しかも力を込めて、児童相談所の区移管が必要である、そのために23区協力して取り組んでいくという答弁を繰り返していました。それが今、前川区長のまさにトップダウンで180度方針転換し、「児童相談所は都が担うべき」「移管を求める他区の動きは政治的パフォーマンス」と言い出しています。誰も前言に責任を負わない。誰も、方針転換の経緯や根拠を説明しない。しかも、他区の努力には毒づいてさえ見せる。こんな区政執行が許されてはなりません。

児童相談所の区移管がなぜ緊要な課題なのか。質疑の最初にも聞いていますが、都が児童相談所を設置し、指導福祉法に基づく保護や措置の権限を都が持っている限りは、例えばどの子がどこに保護・措置されているかといったことすら、区は知ることができません。せっかく児童虐待への取り組みでは練馬区は頑張ってきたのに、いつもこの都区の間の大きな壁が立ちはだかり、それが一貫した児童福祉、虐待防止の取り組みを難していることは、今回の質疑の中でも部長が問わず語りに認めたとおりです。

児童相談所の区移管に背を向ける区政を許してよいのか。これは、間もなく行われる区長選挙の大きな争点でなければならないと思っています。以下、質疑の記録(未定稿)です。


池尻成二委員 271ページ、子ども家庭支援センター維持運営費。児童相談所の区移管に関連してお聞きしたいと思います。
 東京都全体で、児童養護施設に入所している子どもの数は、昨年度で2,939人だったそうです。この約3,000人のうち、練馬区民が約何人いるのか。また、その練馬区民の子どもたちは、区内、区外、都外、どの地域の施設に措置をされているのか、まずお答えください。

練馬子ども家庭支援センター所長 児童が養護施設に入るか否かにつきましては、一時保護をされた段階で、都の児童相談所の調査や診断の結果で判断されるものでございます。一時保護の段階から、区ではなく都が業務として行っているものでございます。都が児童養護施設等、どこに措置されたかについては、東京都が公開しておりませんので、区としてそのような情報はもってございません。
 児童相談所入所に当たっては、また、多くの児童が住民票を施設に移動しておりまして、区が対応できない範囲がございますが、児童が家庭に帰ってくる段階では、地域で把握をしております。昨年度は、17名の児童が13か所の施設から戻っております。
池尻成二委員 自宅に戻る際には、一定の把握をなさっていろとのことですけれども、そもそものところで、区内の子どもがいつ、どこに、何人くらい措置されているのかについては、区は知ることができないと。子育て支援という一般的な感覚からすると、理解しがたいところもあるのですが、実は措置権の大きな制約の中では、これはやむを得ない現実があるのだろうと思います。
 一般質問で児相の件を私が取り上げましたら、区長からは「具体的な意見や論拠は一切示されていない」と厳しいご答弁をいただきました。
 しかしながら、私は、横須賀での視察を私なりに総括したうえで、基礎自治体が児相を持つことの意義を確認し、同様の認識を表明した志村前区長の本会議答弁を引用させていただくことで、自分の立場を明らかにしたつもりです。
 改めて当時の前区長の答弁を簡単にご紹介すると、子ども家庭支援センターでは、立入調査権や児童の保護の権限は有していないため、重篤なケースになるほど一貫した対応が図れない。児童相談所が区に移管されれば、児童福祉行政の前進につながる。こういうご答弁だったわけです。
 実はこういう見解は、当時は、当時といっても大昔ではありません。つい、2、3年前までは、練馬区の理事者は、たびたび繰り返しておりました。例えば、2014年3月、これは予算特別委員会です。当時のこども家庭部長はこうおっしゃっている。
 子ども家庭支援センターは、「(相談が)非常に件数が多い。また、困難事例も出てきておりますし、一方で、児童相談所と各区の子ども家庭支援センターとのはざまに落ちるような事例も出てきてございます。そういう中において、最も区民に身近な特別区が、その児童相談所の責を負うということが一番必要であるという中で特別区長会の申し合わせがありました。練馬区としても、そのような方向でやってきたと考えてございます。」
こういう答弁がされている。
 まず、お聞きします。実は、このときと同じ方が部長をなさっているのですが、部長は当時の答弁を撤回なさったのでしょうか。
こども家庭部長 私でございますけれども、当時は、どうしても先ほどの他会派のお答えもしましたが、江戸川区の死亡事例が起こったと、そして、都の権限であります制度上、特別区に移管を受けたらどうかという機運が盛り上がってきておりました。
 現場の職員としては、現在においても、何の権限をもって自宅に来るのかとの叱責を浴びることは多々あるわけでございます。そうした意味で悔しい思い、歯がゆい思いをしたのは、事実でございます。
 実態としまして、この制度が変わり、法律が変わって、児童相談所を区単位で持つとなった時に、これが果たして子どものために最終的になるのか。
 例えば、児童相談所とともに漏れなく一時保護所を設置する必要が出てまいりますけれども、一次保護所は60日しか保護ができません。それまでの間に、61日目以降の行く末を子どもたちにそれを提示しなければいけない。また、一方で家庭に戻すにしましても、家庭への指導をしなければいけない。
 それから、また、先ほどお話のありました、児童養護施設か里親か家庭に戻すかその選択をしたうえで、その将来18歳まで見取らなければいけないという責任が出てきたわけでございます。
 当時としましては、この子どもたちを何とか保護したいという気持ちは今でもいささかも変わるものではございませんけれども、それから先の行く末を案じた時に、現在の方法よりも今の方法の方が実態としては、最も適しているのではないかという判断のもとに現在、児童相談所によらない児童福祉体制の構築を進めてございます。
池尻成二委員 先ほど、移管の解釈についての議論がありました。当初、2000年、平成12年の地方分権の大きな改革の前後も含めて、そのころまでは地方自治法に基づく分権改革の一環としての制度改正という流れで児童相談所の問題も語られておりましたが、それ以降、特に2004年に児童福祉法が改正されてからは、都区の中でも、中核市並みの「できる」規定を前提にした区移管で議論がずっとされておりました。
そういう意味では、今の部長のご答弁は、当時、一体何を考えて区長以下、そういう答弁をなさったのかという疑問が本当に消えません。
 私は、客観的な事情についていえば、当時、江戸川は確かに問題になりましたが、子どもたちが抱えている現状は本質的には何も変わってないし、むしろ深刻化していると思います。
 区長は、養護施設に入っているのは、3,000人、保育所は27万人、桁が違うとしばしばこの数字を言われる。確かに桁は違うけれども、3,000人というのは、全都で3,000人ですから、単純な人口割をすれば、練馬区でも百数十人です。百数十人の要保護の児童の背景には、例えば、千の単位でリスクを抱えた家庭があるのです。千を超えたリスクを抱えた家庭の周辺にはリスクと隣り合わせで生きている万単位の子どもがいるのです。それが今の児童福祉の現状です。 そういう中でわれわれは、児童福祉のあり方や、児童相談所のことを考えなければいけない。
 そういう現実だからこそ、日常的な子育て支援から専門的な相談、措置までを一体的、一元的に担うことの意義があると私は思います。
 もちろん、任意の設置ということになりますから、児童相談所の移管が進むためにはいろいろな課題があることもよくわかります。そのためにもぜひ区長には、力を発揮していただいて、東京都との協議をぜひ進めていただきたい。これは、お願いとして申し上げておきます。

| 2018-04-11T08:57:30+00:00 2018年3月30日|コメント(0)

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