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「認可外」と待機児童 ~「待機児童」はいったい何人? ④~

認可保育所等の認可の保育を希望しながら受けられなかった子どもたちのうち、認可外の保育を利用することとなった人は、「待機児童」から除かれます。その人数はもっとも多い時で496人にもなりました(2013年度)。

保育所等(認可保育所、地域型保育事業、認定ことも園)に入れなくても、認可外の保育を利用することになった場合は「待機児童」から除外してもよい――これは、厚生労働省が待機児童の“定義”として示してきた考え方ですが、その根拠となったのが児童福祉法24条の但し書きでした。

第24条 市町村は、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、保護者の労働又は疾病等の事由により、その監護すべき乳児、幼児又は第三十九条第二項に規定する児童の保育に欠けるところがあると認めるときは、それらの児童を保育所に入所させて保育する措置を採らなければならない。ただし、付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保護を加えなければならない

この但し書きに基づいて、国は、「やむを得ない事由」がある場合には自治体が支援するなど一定の条件を満たす認可外保育の利用者を「待機児童」として数えなくてもよいという考え方を示してきたのです。以来、この認可外保育は「待機児童」対策の隠れた主役となってきました。
とはいえ、あまたある認可外保育の中で何をここで言う「認可外保育」に含めるかは、その時々で変わってきました。その変化を、表にまとめてみました。

冒頭のグラフで言うと、当初は「認可外」保育は家庭福祉員(“保育ママ”)と保育室でしたが、2002年度から新たに認証保育所制度がスタートします。その後、2013年度にかけて急増してきた「認可外」利用は主としてこの認証保育所でした。その後、認証保育所の認可保育所への移行が体系的に、また急ピッチで進められます。ある意味で手っ取り早い保育所定員増の手段だったのですが、どんどん減っていく認証保育所に代わって出てきたのが「練馬こども園」と「1年保育」です。

それにしても、もともと児童福祉法の本来の規定は、認可保育所で子どもを受け入れることを市区町村の責務としていました。認可と認可外では、行政の責任と関与も、公費の当て方も、施設や事業の環境も、そして最後に保護者の費用負担も、大きく異なります。認可外に多くを頼ることが常態化しているのは、そもそもおかしなことです。実は、子ども子育て支援法ができた際の児童福祉法改正で、このただし書き部分は削除されました。「市町村計画に基づく保育の計画的整備が求められる」というのがその理由で、つまりは待機児童は発生しなくなるものという前提に立ったからなのですが、しかし、法改正後も相変わらず認可外の利用に頼った事態は続いています。

認可外保育に頼らざるを得ない状況を、いつまでに、どのように解消するか。そのことを責任を持って示すのも、区の大切な宿題です。

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