「準備委託」のほころび ~氷川台保育園と南大泉保育園~

「私立の認可園がたくさんある中で、なぜ民間委託に反対するのか?」

よくこんな議論を持ち出してくる同僚議員がいます。しかし、「民間委託」には私立認可園の開設とは全く違った課題があります。「引き継ぎ」です。現に100人の単位で小さな子どもたちを預かっている施設で、ある瞬間を境に上から下まで保育の担い手がすべて入れ替わってしまうことのリスクや負担がいかに大きいか。自分の子どもが保育園や保育士になじんでくれるかどうか。自分の子どもに合った保育を提供してくれているかどうか。そして何より、この保育士さん、この園に任せて安心だという信頼感が持てるかどうか。「委託」になれば、このすべてが一から揺さぶられることになりかねません。
どんなにやっても、人が入れ替わることによるリスクは避けがたい。でも、少しでも保育の内容や質、保育者と子どもたちとの信頼関係が受け継がれ維持されるようにしてほしい。そんな至極当然の、また切実な親たちの思いにこたえる形で、練馬区は「委託」にあたっての引継ぎの在り方には様々な配慮を払ってきました。

もともと、最初の光が丘第八保育園のときは準備委託期間はわずか3か月でした。大混乱に陥ったこの園の委託化の苦い教訓を踏まえ、区は、準備委託期間を1年としました。そして、この準備委託の中身、在り方、目的等についても試行錯誤しながら整理をしてきました。特に、委託事業者の保育者たちがどういう体制で準備委託に関わるかは、詳細な決め事があります。たとえば、第二次委託化計画の最初の二園、この4月から本委託に入る予定の氷川台保育園・南大井図保育園の準備委託についてはこのように定められています。(募集要項より)

6引継ぎ業務 (準備委託)
(1 ) 引継ぎ期間
平成31 年 4 月 1 日 平成 32 年 3 月 31 日
(2 ) 引継ぎの日程および内容
別紙「引継ぎ概要」を参照すること。
(3 ) 引継ぎ期間中の職員配置
①園長・主任
平成31 年 4 月から週に 1 ~2 回 程度配置し、平成 32 年 1 月からは 月 20 日程度配置すること。
②クラスリーダー
平成31 年 4 月から 週に 1 ~2 回 程度 段階的に配置し 、6月からは 週に 1 ~2回 程度配置 すること。 平成 32 年 1 月からは月 20 日程度配置すること。
③その他 の保育士
平成32 年 1 月から 段階的に 配置し 、 2月からは 月 20 日程度配置すること。
ただし、新卒者および転職者の配置については、別途 、区と 協議すること。

委託が始まる1年前の4月から、園長や主任(副園長相当)は週に1~2回は引継業務にあたる。クラスリーダーも6月からは全員が週に1~2回、入る。委託が始まる年の1月からは、園長、主任、クラスリーダーは月20日配置、つまり事実上の常勤就労です。その他の保育士も、2月には月20日の勤務になります。つまり、原則として委託開始前の2月にはすべての保育士が常勤同様の形で引き継ぎにあたるというのが、区の求める条件です。1年をかけて、じっくりと、ていねいに保育そのものを引き継いでいくという姿勢ゆえの条件だと思います。この条件は、委託を受ける事業者からすればなかなか厳しく、負担感の多いものです。しかし、引継に万全を期すためには欠かすことのできない体制である。区はそう考えて、この間、ずっとこの条件を付してきました。

しかし、実は氷川台も南大泉も、この引継ぎの条件を満たすことができていませんでした。区の説明によると、南大泉保育園は委託事業者は国立保育会。園長、主任は準備委託期間中の交代はなかったが、クラスリーダーは1人が6月の頭に交代してしまった。もう一方の氷川台保育園は、事業者は誠高会。こちらも園長は準備委託期間中の交代はありませんでしたが、主任が8月途中に交代してしまいました。また、配置基準として少なくとも常勤19人が必要なのに対し、3月に入っても16人しか確保できておらず、あとの3人はようやくつい最近、確保が決まったとのことです。

準備委託は、きちんとした契約に基づいて行われます。委託の条件である引き継ぎ時の人員配置体制にこうした穴や揺れが生じていることは、大いに危惧されるべきことです。(続く)

|2020-03-25T15:35:02+09:002020年3月25日|コメントはありません

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