混乱する学校図書館③ ~最低賃金なみの職場でよいのか~

2018年度の学校図書館管理業務に関する入札は、3月13日に行われました。年度末まで2週間ちょっと。このわずかの期間で、しかも新たに参入した業者が、46校もの学校図書館で働く有資格のスタッフを確保することがいかにして可能なのか。

教育委員会は、まず、みずからこのことを問うてみるべきでした。しかし、そうはしなかった。前年度まではなかった厳しい資格要件を課す一方で、落札した業者がその要件を満たすことができるのか、それも入札からわずか2週間足らずで満たすことができるのか。検証することはありませんでした。競わせるのは「価格」のみ。選ぶ基準も「価格」のみ。競争入札とは、そういうものなのです。

落札した株式会社秀光が、どのようにして人材を確保するつもりだったのか、明らかではありません。しかし、少なくとも結果的には、責任ある人材確保の見通しを持っていなかったことは明らかです。そしてそれは、入札の金額からだけでも容易に想像できることでした。

昨年度、2017年度に落札した日建総業の落札額は2,214万円だったと、前回の記事で紹介しました。今年度の秀光の落札額3,864万円は、この日建総業の落札額にかろうじて学校数の増加相当分を乗せただけの額です。2,214万円×46校/27校=3,772万円。しかし、これはあまりに非常識な低価格でした。

昨年3月の区議会予算特別委員会で、私は、学校図書館管理員の問題を取り上げました。ほぼ毎年のように学校図書館に関わる質疑をしているのですが、この時は、こんな風に質疑を始めました。

◆池尻成二委員 25人の図書館管理員がいらっしゃって、司書資格の保有者は3人と少し寂しい数字で、私も資料をいただいて驚きました。
2006年の管理員事業開始以来、実は指名競争入札、つまり価格競争による業者選定が続いているわけですけれども、その中でずっと同じ会社が受注されております。
22校が配置になった以降で見まして、2012年度の契約金額が1,985万2,000円。実はその後、毎年下がっておりまして、今年度は1,848万円と100万円以上も安くなっております。競争入札ですから、当然価格競争が厳しいのでしょうけれども、こういう中で働く方、管理員の待遇はどうなのだろうと大変気になるわけです。
ちょうど昨日、新聞の折り込みが入っておりまして、その中でこの事業者が図書館管理員の求人を出しておりました。それを見ますと、時給が940円からです。今、東京都の最低賃金が932円ですから、最低賃金ぎりぎりで求人をかけていらっしゃる。
これで一体、有資格者が幾らかでも安定的に確保できるのか。あるいは、これで質の高い事業が可能かという疑問を強く抱くわけです。

日建総業は、時給940円、つまり最低賃金ぎりぎりの給与で管理員を募集していました。本当に劣悪な採用条件です。こんな給料で、学校図書館の仕事に熱意あるスタッフを継続的に確保することは容易ではありません。しかし、まさに昨年度並みの低価格で落札した秀光の求人も、それと何ら変わらないものでした。今も続いているハローワークでの求人情報は、これです。

時給960円。東京都の最低賃金は、昨年10月、932円から958円に引き上げられました。つまり、昨年度と同じように、今年度も、学校図書館管理員は事実上、最低賃金で募集されているのです。いや、最低賃金同然という点では同じですが、昨年度と今年度では大きく違うことがあります。それは、今年度はきびしい資格要件を付けた求人だということです。昨年度、資格要件がない中でも、業者は管理員を確保するのにかなり苦労したと言います。資格要件が付いた今年度、まして入札からわずか2週間でのスタッフ確保に重大な困難が生ずるであろうことは自明でした。

少なくとも練馬区は、こんな低価格の入札では人材確保が大いに危ういことをしっかりと見て取るべきでした。前年までの求人状況をふまえ、新たに求める資格要件の厳しさを自覚していたならば、この入札結果を受け入れてはなりませんでした。いやいや、価格競争が競争入札の本質であることを知るならば、入札以外の方式に切り替えることを真剣に検討すべきだったのです。

区立小中学校の過半でいまだ管理員が配置されず、昨年度ようやく達成したはずの「全校配置」の約束はガタガタです。その責任は一義的には請負業者である秀光にありますが、しかし、安易な価格競争=競争入札で良しとした練馬区の責任もまた、重大です。(続く)

 

|2018-04-24T07:51:57+00:002018年4月24日|コメント(1)

コメントがあります

  1. やよ 2018年4月24日 at 18:02 - 返信

    教育委員会は、全然分かっていません。
    今まで、学校図書館を支えてきたのは、日建総業から派遣されていたスタッフと、そのスタッフ同士の繋がりと言えます。
    スタッフのほとんどが、司書の資格を持っていませんでしたが、学校図書館管理員の仕事をする上で必要な知識は、それぞれが努力をして身につけていましたので、有資格者とほとんど同レベルの仕事をしていたと言えます。
    その上、経験を積み重ねて学んだことは、経験でしか得られないものがあります。
    最低の賃金で、学校のために熱意を持って働いてくださった人たちを、切り捨てるようなことはしてはいけないです。
    昨年度、やっと全校配置になり、今年度は、ようやく電算化に変わるという大変な時に、学校図書館のことをよく分かっている、経験者の力が一番必要とされるのではないでしょうか!!

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