一般質問から ~図書館の「防犯カメラ」(その3)~

練馬区立図書館に設置された防犯カメラの画像が外部提供されていた件で、これまで何度かこのブログでも書いてきました。大きな新聞報道が1月8日にあり、その後も二つの記事を書いています。

2020.1.15 危ういコンプライアンス ~図書館の「防犯カメラ」(その1)~ こちら
2020.1.19 条例はどう定めているか ~図書館の「防犯カメラ」(その2)~ こちら

それから少し間が空いてしまいましたが、2月の区議会本会議・一般質問で、この問題について取り上げました。ひとつの総括のつもりでしたが、しかし、答弁は新たな論点や宿題を浮き彫りにするものになってしまいました。質疑と答弁を紹介します。防犯カメラについては、指定管理者と個人情報保護条例というテーマでも問うていますが、ここでは防犯カメラの問題に絞って紹介します。


まずは質疑の方から。

◆池尻成二 最後に、防犯カメラの管理運用に関連して、個人情報保護と区のコンプライアンスの問題を取り上げます。
練馬区が区の施設に設置している防犯カメラは、2100を超えるとのことです。防犯カメラは、利用者や区民の安全を確保し、犯罪を抑止する点で一定の役割を果たす一方で、カメラに収められた多様な個人情報の管理という点で様々な課題も指摘されています。
練馬区では、図書館の防犯カメラの映像が頻繁に捜査機関に提供されていたことが明らかとなり、加えて、その中で個人情報保護条例などの規定が順守されていなかった疑いが指摘されています。具体的には

  • 捜査機関の職員以外のものに映像を開示したこと
  • 情報提供依頼照会書の取得がなされていないケースがあったこと
  • 外部提供の実績について、審議会への報告がなされていないこと
  • 映像提供の経過や内容について、適切な記録が残されていないこと

といった点です。
まず、捜査機関以外のものに映像を開示したことについて、区は「事件の被害者であり適切だった」との見解を示していますが、そもそもどういう場合に被害者として認定されるのか、その要件を明示してください。また、たとえ「被害者」であっても、捜査機関でない、したがって情報開示を求める法的な権限がないものに直接、個人情報を開示できるとする、条例上の根拠をお示しください。そのほか、先に指摘した点を含め、条例や規則、手引、カメラ運用規定などは適切に順守・運用されたと考えるか。問題があったとしたら、それはどのような点で、今後、どう改善して行くのか、お答えください。

続けて、こちらが答弁です。答えたのは総務部長でした。

◆総務部長 私から、防犯カメラと区のコンプライアンスについてお答えします。
現在、区は防犯カメラを2120台設置しております。防犯や事件、事故の早期解決には不可欠なものとなっています。その運用は、法令や個人情報保護条例等を遵守し、適切な対応をすることが基本です。
個人情報保護条例第16条第3項第3号では「人の生命、身体、健康または財産に対する危険を避けるため、緊急かつやむを得ないと認められるとき」に個人情報を外部提供できることを定めています。図書館の事案については、被害の拡大防止、事件の早期解決の点から、緊急かつやむを得ないと判断したものであり、条例等の規定に基づき対応したものと考えています。…(中略)…
各所管課では、平成17年度に制定した、防犯カメラ設置指針に基づいた運用規程を定めております。近年の区立施設の防犯カメラ設置台数の増加を踏まえ、現在、指針等の見直しを行っており、各施設の月的に沿った防犯カメラのより適切な運用を図っていきます。

「防犯カメラの画像が、条例などに反して提供されたのではないか」。私の問いが焦点を当てたのは、捜査機関つまり警察の者以外の一般の利用者に直接、画像を提供したことでした。カメラに写っているかもしれない様々な利用者本人の同意がないままに外部提供するにあたって、区はこの間、「法令に基づいて」提供を求められたからという説明を重ねてきました。しかし、この説明では、警察官ならともかく、一般の利用者にまで画像を見せる根拠を探すことはどうやっても困難です。たとえその利用者が被害を訴えていたとしても、です。

区も、そのことは自覚していたのでしょう。そこで持ち出してきたのが条例16条第3項第3号です。質問を作りながら、もしかしたらこの条項を持ち出してくるかもしれないと思わなかったわけではありません。しかし、さすがにそれは難しかろう、そうも思っていました。なぜなら、この「緊急避難」条項は「人の生命、身体、健康、財産等の生活上の重大な危険」を想定したものであり、安易に適用することは想定も許容もされていないと理解していたからです。

「生命、身体、健康または財産に対する危険を避ける」とは、人の生命、身体、健康、財産等の生活上の重大な危険を避けるため、本人から同意を得て外部提供をする時間的余裕のない場合をいう。本項での「危険」には、自然現象のほか、犯罪、紛争等人為的な場合も含む。(『運用の手引』)

しかし、区はこの条文を持ち出してきました。非を認めることがよほどいやだったのでしょうか。しかし、この答弁は、必ず新しい論点を呼び起こすものでした。何より、実際に一般の利用者に画像を見せたケースでは本当にその利用者に「重大な危険」が差し迫っていたのか。その「重大な危険」はだれが何をもって判断したのか。捜査機関に通常の法令に基づく提供を行うことではなぜだめだったのか?

ことは、みずからの個人情報の保護を求める区民の権利に触れる問題です。そしてまた、条例上の根拠を常に問われるコンプライアンスの問題でもあります。そうした事の重大さにふさわしい慎重さと熟慮が、この答弁からは伝わってきません。

|2020-02-29T16:26:52+09:002020年2月29日|コメントはありません

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