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2020年。いのちと地球への責任を、分け持って

年が明けました。2020。ちょっと区切りっぽい一年です。
「朝日」と「東京」と、二つの新聞の社説に同じ一文が引用されていました。

「我々は、貧困を終わらせることに成功する最初の世代になりうる。同様に、地球を救う機会を持つ最後の世代にもなるかも知れない」

2015年、国連の≪持続可能な開発サミット≫が採択した『我々の世界を変革する:持続可能な開発のための 2030 アジェンダ 』の一節です。世界的に広がる格差、暴力、そして環境危機…国連の危機感をだれも否定できないでしょう。行動へ。若い世代を先頭にした鋭いアクションの持つ意味も、そこにあります。

考えてみれば、中村哲という人が向き合い、格闘し続けてきた現場は、まさにこの危機に瀕する世界の第一線でした。戦乱と飢餓、干ばつ、絶望と不寛容。その中で、まさに素手で、言葉ではなくまさに実践として対峙し、そして生き生きとした選択肢を提示し続けた生き様は、たくさんの人々に何物にも代えがたい貴重なものとして受け止められてきました。

その哲さんとの辛い別れの中で迎えた新年。

先に書きましたが、11月22日、福岡の事務所を訪ね、言葉を交わし、練馬での再会を約し、笑顔で握手をし…それが、中村哲さんとの別れになりました。唐突で理不尽な別れでしたが、深い嘆きと同時に、哲さんを知り共感するさらに多くの思いに触れて、私自身、道を見定め直しながら新しい年を迎えています。

目先の開発利益ばかりの「まちづくり」、暮らしの現場を忘れた役所、形ばかりの民主主義、魂の抜けた「平和主義」…この国もまた危うい時代の中にいます。とりわけ、政治と政治家が向けられている深い不信と懐疑は、致命的とさえ思えます。
偽善と欺瞞の代名詞と言われかねない政治の中に身を置く、そんな自分を矯めなおし、常に厳しい自省と自戒を迫るという意味で、中村哲という生き様は私にとってひとつの“道標”でした。空疎な言葉を排し、謙虚に真剣にいのちと向き合う。2020年、改めての決意です。

2月1日には「中村哲先生をしのぶ会」を開催します。地続きの、変わらぬ時間の流れの中で、でも確実に変化は進み、あるものは過去になり、あるものは未来として立ち現れ…そんな変化を心に刻むために年が明ける。
2020年も、どうぞよろしくお願いします。

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