区立福祉園の存続を! ~区議会での討論から~

練馬区は、この春、策定した新しい行政計画の中で、区立の福祉園を廃止する方針を打ち出しました。福祉園というのは、障害福祉サービスの種類でいうと、生活介護になります。重い障害のある人たちが日中、過ごす場所です。
最初に廃止対象となったのが、大泉学園町福祉園です。重症心身障害者を受け入れる施設を新たに誘致する、生活介護も併設する、もう定員は足りているので区立の施設はいらない。こんな理屈です。
この計画に対して、利用者の家族などで作る「父母の会」が、区議会に『大泉学園町福祉園の存続を求める陳情』を提出。区議会では、保健福祉委員会で質疑をしたのちに不採択の結論を出し、6月3日の本会議で改めて討論と採決がありました。

以下、私・池尻成二の討論を再録します。討論は「おおむね5分」と定められており、凝縮に凝縮を重ねたものですが、ぜひご一読ください。

第60号 区立大泉学園町福祉園の存続を求めることについて
提出者 練馬区立大泉学園町福祉園 父母の会
要旨 区立大泉学園町福祉園を廃止しないよう、区に働きかけられたい

陳情第60号について、大泉学園町福祉園の存続を求める立場から討論を行います。

重症心身障害者の通所事業を新たな場所で拡充することが必要だとしても、それがなぜ、大泉学園町福祉園の廃止なのか。
陳情者の、そして私たちの疑問はこの一点に収れんします。

区が持ち出す最大の論拠は、学園町福祉園を廃止しても生活介護の定員枠は「若干の余裕」があるということです。そう、あっても「若干」でしかありません。定員は、見かけの数字以上に厳しい。
2003年、区が重心事業 (※重症心身障害者の通所事業) を始める前と比べると、6つの区立福祉園の定員は7人増、しかもそのうち16人が施設面、人員面で手厚い体制を必要とする重心事業の定員です。障害の重度化が進み、医療的なケアに取り組む中で、この20年、生活介護の環境は確実に余裕を失ってきているのです。
しかも、この「余裕」は、三原台の新しい生活介護定員を区内最大の75人として初めて、計算できるものです。特別養護老人ホームも、グループホームも、そして学童クラブも、福祉は今や大規模化によって事業の効率化と経費節減を図る道に走っていますが、果たしてそれは人間的なことなのでしょうか?

障害者の通所施設は今、大きなインクルーシブな社会形成の一翼として、当事者の主体性や権利を踏まえた不断の支援の見直しと展開を迫られています。一人一人の障害やニーズの多様性に応じた支援は、大規模化する施設のあり方に反省を迫ります。こうした新たな課題にこたえ、これまでの“詰め込み”を解消しようとすれば、区が言う定員の「若干の余裕」など、いつ消えてもおかしくありません。

学園町福祉園の廃止を急ぐ前に、生活介護全体の処遇や定員の在り方をまずはしっかり見直すべきです。少なくとも、一定の期間は両施設を併存させ、学園町の利用者の選択を保障し、支援の継続を担保し、利用ニーズの推移を慎重に見守るくらいの配慮は、極めて常識的で現実的なもののはずです。
なぜそれができないのでしょうか。
それは、区が、重心事業の展開を口実に、福祉施設のスクラップ化をはかり、財政負担の軽減を図ろうとしているからです。

区は今、とにかく区立の施設を減らしていくことに躍起です。福祉園を廃止し、三原台の新たな重心事業拠点もいきなり民設民営で整備しようとします。あまりに無謀です。
医ケアの通所に加え、医療型のショートも。できれば入所の療養介護も…これだけの医療系の重心事業と定員70を超す巨大な生活介護事業を一体的に展開できる法人が、どれほどいるのか。強い不安を覚えます。本当に手が上がるのでしょうか??

高い専門性とリスク管理が求められるこういう事業こそ、区がみずから責任を負う形で、つまり少なとも区立の施設として始めるべきなのに、わざわざ区立の施設を廃止し、民設民営に置き換える。委員会で、部長は区立であれ民間であれ、「区が果たす役割は全く変わらない」と色を成して反論していますが、人材の安定的な確保と長期的な育成、事業の公開性や公平性に対する制度的な担保、何より施設の設置主体として区が事業に対し直接に責任を負うことから生まれる安定感と安心感。こういう違いを全く意識できていないのは驚くばかりです。
昨年、民営化まで検討していた育成会がしらゆり荘の経営から突如、撤退しました。区はこの唐突な事業者本位の判断を止めることもできませんでしたが、これもまた、福祉を民間にゆだねることのリスクを象徴する出来事でした。区は何も学ばなかったのでしょうか。

部長はまた、学園町福祉園を残すことは財政上も難しいと正直に吐露しています。学園町福祉園の廃止は、区職員を削減し、跡地を使いまわすことで区財政に貢献するとそろばんをはじいているのです。財政的な思惑で障害当事者とその家族に負荷を与え、リスクを背負わせる、もっとも福祉から遠い道を選択しようとしていると言わざるを得ません。

福祉の部署が公的な福祉基盤のスクラップ化に走り、かつその先頭に立っているのが、いずれも福祉現場のたたき上げとしてまさに公的な福祉を誇りをもって担ってきたはずの部課長であることに深い驚きと失望を抑えられません。大泉学園町福祉園の存続を強く求めて討論とします。

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