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「落下物」は大丈夫か? ~羽田空港の“機能強化”問題~

羽田空港の“機能強化”のために、増便をしたい。そのために、現在は原則として海側からとなっている離発着経路の一部を、陸側に移したい――こんな話が動き出し、都内の各自治体を巻き込んだ議論が続いています。もともと経路変更は地元の同意など不要、というのが国の姿勢。ただ、各区や都からの要望もあり、何より騒音など生活環境への甚大な影響に考慮して海上経路を基本としてきた経緯があるだけに、説明や協議が続いています。国(国土交通省)としては、この8月にも最終的な経路変更方針を固め、来年度の予算措置を目指しており、議論は大詰めを迎えようとしています。

もともとの国交省の考え方は、同省のHp「羽田空港のこれから」をご覧ください。現時点での変更案は、南風時の15-19時に練馬、板橋、中野、渋谷、品川、大田などを通る経路で着陸させようというものです。
飛行経路の変更は、経路に当たる地域に様々な影響を及ぼします。最たるものは、空港周辺の騒音問題ですが、何といっても人口が超過密な都心上空を飛ばすという話。万一事故が起きた場合の影響の大きさを懸念する声、あちこちにある高層の建築物のリスクなどを指摘する声もやみません。さらに、事故とまではいかくなても、日常的に発生する落下物対策は、深刻な課題となっています。
離着陸時の飛行機からの落下物について、成田市が取りまとめた数字を入手することができました。羽田空港増便問題を考える会が国土交通省との話し合いを持った際に、配布されたものです。この数字を見て、正直、驚きました。成田開港以来の35年間に確認された落下物は、158件。年平均で5件近くになります。しかも、氷塊以外に飛行機の部品が頻繁に落ちているのです。成田空港の離発着便の落下物は、海上や山中に落ちて確認できていないものも数多くあるでしょう。落下物はごく日常的にある。これが、少なくとも現在の航空機運航の状況だということです。
この問題に取り組んでいる大田区議会議員の奈須さんの説明では、落ちたものの中には重さが1kgを超えるものまであるそうです。数百グラムのものであっても、何百mもの高度から落ちてくれば、まさに凶器。人身事故につながることは容易に想像されます。
最近は、練馬上空を飛ぶ飛行機がずいぶん増えています。区民の皆さんから問い合わせや苦情も多くなっています。大空のどこを飛ぶかは、決して飛行会社の都合や経済的な損得だけで決められてはなりません。地上には、私たちが暮らしています。安全と安心がしっかりと担保されることが必要です。

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