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障害者に対する「社会的障壁」をなくすために

 19日、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(“障害者差別解消法”)が衆議院に続いて参議院本会議でも可決され、成立しました。この法律は、日本の社会のありように大きな見直しを迫るものにもなりそうです。とくにカギを握るのは、「合理的配慮」の規定です。障害者は、日々の暮らしの中で障害があるがゆえにさまざまな不利益や差別に直面します。“障害者差別解消法”は、そうした差別を生み出す社会的な障壁を取り除いていくことを法の基本的な目的とし、そのための努力を関係者に求めています。特に行政機関などについては、社会的障壁を取り除くための「必要かつ合理的な配慮」を法定の義務として位置づけました。

第7条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。

 法の定義によれば、「社会的障壁」とは「障害がある者にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のもの」を言います(2条2)。行政サービスの利用、地域社会への参加、政治や議会活動における主権の行使など、抽象的には障害者にも同等の権利として当然のように語られていても、様々な社会的な障壁によって実質的には制限されたり空文化されてしまうものはたくさんあります。言葉だけの平等、形だけのノーマライゼーションから、実質的な平等、具体的なノーマライゼーションへ。社会の側に求められる課題と責任は、大変大きいというべきです。
 さて、わが練馬区はどうでしょうか。練馬区は、膨大な数の事務と事業を実施しています。それらは、障害者に対する社会的障壁を取り除きながら進められているでしょうか。
 “障害者差別解消法”は、全会一致で可決されました。法の正式な施行は2016年4月となっていますが、自治体職員の対応を定めた要領の作成など、施行に先んじて取り組む課題も示されています。すでに施行されている障害者基本法と合わせ、練馬区は早急に「合理的配慮」に関する考え方や対応策の検討に入るべきです。

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