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転換点

 年が明けました。暦がひとつ進んだだけ、とはいっても「一からはじめる」という生活の知恵はいかんともしがたく魅力的。それに、さすがに年のはじめ、少し長尺で物を考えるよい機会です。
 およそ政治というものに関わり始めてから、もう30年になります。そうなると、いやでもそれなりに「経験」が増えていきます。経験というのはなかなか大切なもので、思想は現実の僕(しもべ)にすぎないと誰かが言っていたような気もしますが、それほど現実の力は圧倒的で、経験が少なければしばしば目の前の現実に惑わされ、判断を過ちます。例えば、「転換点」です。
 この30年間、「今こそ時代の転換点だ」と、何度思ったことか。そして、その「転換点」がたんなる踊り場、あるいは小休止でしかないことに何度、気づかされたか。
 今、新しい年を迎えて、時代が「転換点」に差し掛かっていると感じる人は少なくないはずです。これは、ほんとうに転換点なのか。何から何への転換点なのか。
 この30年間、社会の変革を求める運動、政治運動としてみたときに、明らかに長く深い後退が続いてきました。合間合間にいくつかの波は当然、ありましたが、しかし、全体としては後退の基調は変わることがありませんでした。この30年というスパンで続いてきた基調に、ほんとうに転換が訪れようとしているのではないか。噴き出した「格差」論議のなかから、現代の「貧困」が姿をあらわし、さらにその中から生身の、痛みも怒りも備えた労働者が立ち現れてくる…昨年のこの劇的な展開を見れば、そう思わずにはおれません。
 1929年の大恐慌以来の「100年に1度の危機」と言われます。私が経験した30年の停滞と後退に先立って、やはり30年近い広がりと高揚――ただし、未成熟で中途半端な高揚の時期がありました。それに先立つのは戦争と敗戦であり、そしてその戦争はほとんど直接に1929年の大恐慌につながっています。そうした意味では、今、経験しつつあるのはもしかしたら「100年に1度」の転換点かもしれません…だんだん荒唐無稽な話になってきましたが、しかし、大きな転換点に差し掛かっていることは間違いないと、今、そう感じています。
 問題は、この転換点に居合わせた私やあなたがどう振る舞うかです。時代を拓く…そんな一年にするぞ!と気合を入れて、正月の小休止にピリオドです。

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