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誠実に、わびること ~区長に求められるもう一つの資質~

 火曜日の企画総務委員会で、「区立施設建築安全調査報告書」についての報告がありました。区立学校で建築基準法が求める完了検査の検査済み証がない、従って完了検査が適正に行われていなかったという問題が明るみに出て、全庁を挙げての調査と検証が続けられてきました。その報告書です。
 結論だけかいつまんで言えば、対象となった区立施設846棟のうち631棟で完了検査の検査済み証なし。さらに、民間建物の建築確認にあたる計画通知の確認すらないものが112棟もありました。詳細はまた機会を見つけて触れたいと思いますが、とにかく、行政が法に基づく義務を適正に執行していなかったケースが山と出てきたのですから、驚くべき事態です。
 しかし、今日触れたいのは、この報告書を記者発表するにあたって出された区長のコメントです。こちらです。
 短いコメントですから、ぜひ直接、読んでみてください。このコメントには、おわびの言葉がありません。法を守らせるべき立場にあるにもかかわらずみずから法を逸脱する行為をしてしまったこと、しかも大量に行ったこと、そしてそれが施設を利用する区民の安心と安全を脅かしかねないものであったこと…わびてしかるべき事件です。しかし、区長の口からは、ついにおわびの言葉は出てきませんでした。区長はこう言っただけです。

 今般、建築基準法に定める手続の不備が、小中学校その他の区立施設において数多く判明したことは極めて遺憾であります。

 おかしいよな…なぜ「遺憾」なの? 遺憾、という言葉は、自分ではなく他者の行為について、しかもそれが間違っていたとか悪かったというよりはむしろ残念だった、口惜しいといった意味で使われる言葉です。なぜ「遺憾」なの? 法を守らずに建築してしまった建築主はあなた、区長です。そして、法を守らせるべきであったにもかかわらず、かくも大量に見逃してしまった建築基準法の特定行政庁にあたるのも、あなた区長ではありませんか。
 区長は、この問題の当事者です。最終的に責任を負うべき主体です。なぜその区長が、「遺憾だ」と言ってすませられるのでしょう。私には理解できません。
 光が丘病院の先生たちを侮辱する言葉が問題になったときもそうです。区長は、みずから謝ったり、言葉を正そうとはしませんでした。政治的な立場は違っても、私もまた、区長を区の代表として戴く一人です。とても、残念です。

     ➠区立施設建築安全調査報告書は、こちらから

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