Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

記録すること

 昨日31日、<写真集『市民がベトナム戦争と闘った』出版記念会>に参加しました。

 1965年、北爆の開始とともに一気に本格化し泥沼化したベトナム戦争、正しく言えば米国のベトナムに対する軍事的な干渉・介入の戦争に反対する闘いは、世界中に広がります。「ベトナムに平和を!市民連合」もその一つでした。市民の思いを広く深く表現することを強く意識した、個性的な運動であり組織でした。
 このべ平連の広がりと並行するように、練馬でも68年7月、<ベトナム戦争に反対し、朝霞基地の撤去を求める大泉市民の集い>が活動を開始します。練馬から朝霞にかけて広がる米軍キャンプ(キャンプ・ドレイク)は、ベトナム戦争で傷ついた米兵のための野戦病院となっていました。負傷兵を乗せて大泉の上空を飛び交うヘリコプター、「もはや沈黙するのもまた苦痛である」――<大泉市民の集い>の誕生です。
 もちろん私は、べ平連も、<大泉市民の集い>も直接には経験していません。しかし、直接・間接に存じ上げている関係者は多く、かつての米軍朝霞基地、現在の自衛隊朝霞駐屯地の問題を区政の一つの大切な課題として自覚するものの一人として、また平和や反戦を思いの底につないでいこうと決意をしたもとして、共感と敬意をこめて知る歴史です。しかし、歴史は語られなければ歴史とならず、歴史を語るためには、いずれそれは記録されなければなりません。そこで冒頭の出版記念会です。
 写真集『市民がベトナム戦争と闘った』。とても素敵な写真集です。歴史の、しかも市民の、しかもしかも、ベトナム戦争という世界の大国の戦争と向かい合った記録として貴重であるというだけではありません。写真に写るいきいきとした表情と、今でも伝わってくるエネルギーは、歴史が歴史であることを超え、「現在」への強いメッセージを持っていることの証左のようでもあります。
 それにしても、改めて思います。記録することの大切さを。「大泉市民の集いの運動は自分たちのしたことを徹底的に記録することを心がけた運動であった」と、あとがきに和田春樹さんがお書きになっています。この一点だけでも、私たちは学ぶべき多くのものを見つけることができる。そう確信させてくれる写真集です。ぜひお手に取ってご覧になってください。(発売元・梨の木舎)

 この日の会は、<大泉市民の集い>の中心メンバーの一人であり、写真集の完成を見ることのないままに亡くなった清水知久さんのお別れの会を兼ねたものでした。清水さんご自身にも、私は何度かお目にかかり、そして個性的な励ましと叱咤を頂いた記憶があります。ご冥福をお祈りします。

コメント