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練馬区、50億円の支払いを命じられる ~日大の「敷金返還訴訟」~

 日本大学が、練馬区に対して日大附属光が丘病院開設時に差し入れた「保証金」50億円の返還を求めて起こした訴訟で、今日、東京地方裁判所の判決の言い渡しがありました。判決文を読むことができていませんので、判決理由などの詳細は分かりませんが、結論は「練馬区に対し、50億円の返還を求める」というものです。日大の全面勝訴、ということでしょう。
 この判決の持つ意味、その評価については改めて書きたいと思います。今はただ一つだけ、練馬区がこの「50億円」を法的に支払う必要はないと主張し続けてきたこと、そしてそのことを大きな前提として、日大撤退に突っ走ったことを指摘しておきます。たとえば、2011年9月22日の区議会特別委員会で、所管の事業本部長はこう発言しています。

◎健康福祉事業本部長 私どもは基本協定書および公有財産貸付契約書において、区で貸し付けられる最大限の年数ということで30年を設定させていただきました。この30年につきましては、病院を安定的に運営していただくということも含めて30年で決定させていただいているわけで、この契約については私どもは有効だと思っています。
 また、保証金そのものについては、私どもは病院運営を続けてもらうための運営的な保証金ということになっています。したがって、30年を経過したときに戻す、お返しするという規定になっておりますので、これも何ら問題ないと私どもは思っています。相手方については、民法の604条を根拠に20年が最高だと言っておりますけれども、借地借家法においては、建物賃借についてはこれを適用しないと規定されておりますし、借地借家法がこの協定を結ぶ後であったということであっても、少なくともこれはさかのぼって適用することについて何ら問題はないと私どもの解釈を持っておりますので、私どもとしては、30年は過ぎていないので、この保証金について返していただきたいと向こうが言ってきた場合については、私どもはそういう論理でお返しできないと判断しているものでございます。

 「50億円」を返すつもりはないし、返す義務もない―これが、練馬区の認識でした。練馬区は控訴して争うのか。それとも、受け入れて50億円を支払うのか。支払うとすれば、その50億円は区の財政調整基金から繰り入れて手当てすることになるでしょう。何しろ、もともとの50億円は基金として積むことも特別会計で管理することもせず、一般会計の歳入に繰り入れられ右から左へと支出されてしまっているのですから。練馬区民は、降ってわいたような50億円の支払い義務をどう受け止めるでしょうか。そして、あれほど払うつもりはない、悪いのは日大だと言い続けてきた人たちは、どう責任を取るのでしょうか?

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