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木曽路で

 ずっと以前、『夜明け前』で初めて知った木曽路の宿、馬籠を訪ねています。一人暮らしになった九州の母を連れ出しての旅、走り抜けた一年のそのまたあわただしい年の瀬に、少しだけ気持ちをリセットさせてもらいたいという思惑を重ねてやって来ました。

 よいところですね。尾根にまっすぐ向かうような細く急な中山道、その東は妻籠の宿。本当に小さな額を寄せ合うように重ねられた棚田、「水が乏しいところでねぇ」という宿の主。明治の大火で宿も、この地で生まれた島崎藤村の生家も焼けたと言っても、それから100年の歴史をしっかりと伝える家々。木曽という地域の歴史も地勢もほとんど頭に入っていませんが、町並みと家並みの風情、包み込むキーンと冷たい空気…辛さと寒さを耐える優しさのようなものを感じます。藤村のイメージが、後か先か、無理なく重なってきます。

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