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最終日、討論から ~練馬区議会第3回定例会~

練馬区議会第3回定例会は、今日、閉会となりました。長い議会でした。少々、くたびれました。うまく行った時も行かなかったときもありますが、力は尽くせたかな…。それにしても、この議会中に飛び出した前川区政の“行革”、施設の“統廃合”方針は、その乱暴さと強引さで際立っています。光四中、小竹小、高野台運動場…議会が終わりましたが、区民がその意思を示すのはこれからです。
最終日、補正予算の反対討論に立ちました。この議会の締めくくりとして、再掲させて頂きます。「練馬区は、組織としても、施策としても、深い混迷に入りつつあるのではないか」。私の問題意識です。ちょっと長いですが、お付き合いください。

議案115号、2016年度一般会計補正予算に対し、反対の立場から討論を行います。
補正予算の柱は、なんといっても保育所待機児童ゼロ作戦にかかる経費です。
今年度当初に打ち出した待機児童ゼロ作戦で、区は、0~2歳に集中的に資源を投入することを柱として、さまざまな手を打ってきました。小規模保育事業へのシフトしかり、1歳児1年保育しかり、既存施設の定員枠の見直しもしかり。
待機児童が0~2歳に集中して発生する中で、この年齢の定員を重点的に確保していく。わかりやすい理屈です。3歳以降、幼稚園も含めて保護者の志向が複線化していく中で、年齢に応じた事業の体系を視野に入れること自体は否定されるべきではありません。
しかし、保育を必要とする子どもと親が何より求めるのは、安定的・持続的に保育を受けることができる安心感です。もし区が0~2歳に特化した対策を強化するのであれば、最低限、責任を持って解決すべき課題が二つありました。一つは、0~2歳の保育事業においてしっかりとした質を確保すること。そして、いわゆる「3歳の壁」を取り払うための措置を取ることです。

国は、小規模保育や家庭的保育を法に位置づけるにあたり、「連携施設」を確保することを必須の条件としました。「3歳の壁」を、連携施設での受け入れによって解消しようという仕組みです。2歳から3歳になる過程で、いかにして保育の継続を保障するかが大きな課題であることは、国にとっても自明のことでした。しかし、練馬区において、法に定める連携施設はいまだ一つも確保できていません。区は、その責任を重々自覚すべきです。
もう一つの課題、保育事業の質という点でも、区の対策は多くの課題を抱えています。
1歳児1年保育は、公的な保育として見た場合に極めて安易なものと言わざるを得ません。最長でも1年。それ以後の保育の保障は全くない。2歳の春が来れば、わずかに指数上の加点があるのみで、改めて調整を求め、待機の不安と直面せざるを得ない。いわば「2歳の壁」の誕生です。しかも、保育料は標準保育時間11時間で月額5万円もするのです。
応能負担が原則とされる中で、一律の高額負担を求めること自体、この事業が本来の保育とは全く別な位置づけのものであることを教えています。区は、1歳児1年保育を1000人の拡大定員枠に加えていますが、それは、明らかに不当なことです。
1歳児1年保育については、区立幼稚園の問題に触れざるを得ません。教育長は、昨年2月、区立幼稚園における預かり保育について「実施に向けて、平成27年度にその条件整備を図ってまいります」と言明しました。しかし、この約束は果たされませんでした。かわって持ち出されたのが1歳児1年保育です。順番が逆でしょう。在園児の保育に当たる用意と体制があってこそ、1歳の保育を担いうるというものです。
教育長ともあろう人が、本会議での答弁まで反故にする。異例、異様なことです。しかも、教育委員会が前言を翻し、あるいは道理を失うのは、幼稚園の問題だけに限りません。
光が丘四中の廃校は、統合新校の設置を原則とした適正配置基本方針に反することは明白なのに、教育委員会はみずから立てた原則を無視しました。小竹小の廃校問題では、近々に標準規模を回復すると見込まれる学校を、なぜ廃校にしなければならないのか。この素朴ではあるけれども極めて本質的な疑問に、教育委員会は答えるすべがありません。
教育委員会の混乱、一貫性の欠如は目に余ります。そして私は、子育て・教育施策を巡る混乱の背景に、区長の強い指揮と干渉があるのではないかと危惧しています。
公共施設等総合管理計画の「リーディングプロジェクト」に小竹小等の統廃合が位置付けられたのを見て、私は、この方針が区長の強い意向を反映したものであることを思い知りました。光が丘四中の廃校もまた、教育とは直接関係のない思惑によって突き動かされているのではないかと、多くの議員・区民が疑っています。
教育行政にとどまらず、高野台運動場の廃止など、区長のイニシアティブによる唐突で強引な意思決定が相次いでいます。前川区長の言う「柔軟な発想」は、施策の一貫性や説明責任の欠如を覆い隠す方便となり、「トップマネジメントの強化」は、恣意と独断の別言となって、管理職や行政委員会にすら、追従と付和雷同の気風を助長していないでしょうか。
練馬区は、組織としても、施策としても、深い混迷に入りつつあるのではないか。区政の現状に強い危惧を表明して、討論とします。

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