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循環型社会形成推進交付金

 16日の例の「事業仕分け」で、「循環型社会形成推進交付金」が俎上に載せられました。この交付金、自治体が清掃工場などの焼却施設やリサイクル関連施設などを整備する際に経費の1/3を原則として交付するというもので、予算ベースで年500億円程度。国の予算としては決して大きな額ではありませんが、全体で2000億円程度しかない環境省の予算の中では最大の支出項目の一つです。私たちの身近なところでは、清掃一部事務組合の工場整備にはすべてこの交付金が充てられていますし、練馬区が整備している谷原の資源循環推進センターもこの交付金を受けています。
 「仕分け」の結論は「予算要求の縮減(10%程度を縮減)」というものでした。「とりまとめコメント」として、こうあります。

意見は、予算要求の縮減に集中した。議論の中でも指摘されたとおり、不用額が多数出ているのは問題であり、きちんと予算額に反映させることが必要。このような観点から予算要求については厳格に見ることとし、当ワーキングとしては、10%程度の予算要求の縮減を結論とする。

 これを読む限り、多額の不用額が出ていたことから、不用額に見合った予算規模への縮減をという議論になったようで、交付金の在り方に踏み込んだ検証はなかった様子。もともとこの交付金、「三位一体改革」の一環としてそれまでの廃棄物処理施設整備費補助金が廃止される中、業界団体の強い働きかけもあって「交付金」として生き延びた経緯があり、実際には「交付金」とは名ばかりの相変わらずの施設建設補助というのが実態でした。清掃工場の整備に関してはカルテルなど業者との不透明な関係がたびたび指摘されていますし、循環型社会の推進という視点に立って施設、とりわけ焼却施設の必要性、あり方を精査していくという点ではずいぶんと甘い交付金と言わざるを得ず、その点にふみこんだ検証がなされることを期待していたのですが、さすがにわずか1時間の「仕分け」ではとてもそこまで無理だったということでしょうか…。
 しかし、この10%削減、現場の自治体にはボディブローのように効いてくる可能性があります。なぜなら、多額の不用額は、施設整備が様々なハードルの中でなかなか進捗していない状況を反映していたのですが、いずれにしても整備する以上は多額の資金が必要であり、その中でこの交付金は大いに当てにされていたことには間違いなく、それが縮減されれば、今後の整備計画の財源確保が難しくなる可能性があるからです。
 折から、一組は一般廃棄物処理計画の改定とそれに合わせた施設整備計画の見直しを進めています。政府の交付金削減方針は、その議論にも、影を落としていくかもしれません。

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