Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「摩訶不思議」な区長答弁 ~一般質問、終了~

練馬区議会第1回定例会は、昨日で一般質問が終了し、今日から各委員会での議案の審査に入ります。昨日は、私も一般質問に立ちました。忙しい中、たくさんの方が傍聴に来てくださいました。半ば儀式化した本会議の一般質問ですが、区民の目がしっかり向けられていると知らせることはとても大切なこと。加えて、小さな会派でも「応援しているよ!」という思いに後押しされれば、頑張れます。本当にありがとうございました。

私の質問の中でも、横須賀市への視察も含め特に力を入れて準備した児童相談所に関する部分を、まずそのまま採録します。区長がこの部分にだけ答弁を、しかも「摩訶不思議」な答弁をしてくれたのですが、それはまた改めてご紹介するとして、ぜひお目通しください。
(写真は横須賀市の児童相談所で。岩瀬たけし議員と)

先日、ちょうど大雪の日、会派として、横須賀市の児童相談所を視察しました。横須賀市は、2004年の法改正を受け、いち早く児童相談所設置に動いた中核市の一つです。児童養護施設等の措置実績は、年120名程度であること。措置に関わる他の自治体との調整・連携は問題なく図られていること。併設の一時保護所は定員25人、延べ保護日数は年9,000日を超え、市の児童福祉行政の中で重要で積極的な役割を果たしていることなどを確認し、意義ある視察でした。専門職の確保をはじめとして苦労の多さもひしひしと伝わってきましたが、しかし、何より「横須賀市の子どもは横須賀市が守る」という、開設当時から伝わる自治と福祉への気概と熱意は、かけがえなく貴重なものと感じられました。
そして、実は、そうした気概も熱
意も、以前は練馬区にも確かにあったのです。

前回の区長選に先立つ2011年、「早期に児童相談所の区移管を実現すべき」という公明党の一般質問に答えて、当時の志村区長はこう答弁しています。
子ども家庭支援センターでは、…立入調査権や児童の保護の権限を有していないため、重篤なケースになるほど一貫した対応が図れない状況にあります。児童相談所が区に移管されれば、的確かつ迅速な対応を行うことが可能になるとともに…責任の明確化が図られることから、児童福祉行政の前進につながるものと考えております。私は、児童相談所の区移管が早期に実現されるよう、特別区長会の一員として積極的に都に働きかけているところであります。
志村前区長は、別な場では、「特別区の行財政能力や実績を踏まえれば、児童相談所の移管についても十分対応できる」とも言い切っています。
ところが、前川区長は、こうした練馬区の公式の見解を180度、逆転させました。
「今、特別区に児童相談所の設置を求める方々がいますが、それが何故、子ども達を救う事になるのか、説明はありません。養護施設入所児は都内で3千人未満、保育所入所児の27 万人とは桁違いに少なく、施設は少数で都の内外に分散しています。処遇にも専門性が必要で、広域行政の性格が強いのです。…」
これは、練馬区報に区長が書いたコラムの一節です。保育所の子どもたちの数と比べることにどんな意味があるのか。数が少ない、といっても3000人なのですが、だから広域だ、区ではなく都の事務だという理屈には驚きますが、とにかく前川区長は、区がみずから児童相談所を設置することには極めて否定的、消極的です。かつての区の見解はどこに行ったのでしょうか。
少なくとも志村区政の継承を掲げて区長となった以上、前川区長は、区の見解を一変させたのはなぜか。区のかつての見解はどこが、なぜ間違っていたのか。明確に説明する責任を負っています。お答えください。
視察に対応してくれた横須賀市のある職員は、遠慮がちにこう言いました。「70万人も人口がいたら、十分広域だと思いますけどね」と。それが、基礎自治体の感覚というものです。
報道では、江戸川区と板橋区が独自の児相設置に向けて新年度に整備費を盛り込むとのことです。そもそも23区のうち22区が現に設置に前向きの検討を続けている中で、それでもなお、あくまで都が広域的に対応すべきと主張する前川区長の姿は、およそ改革や自治の担い手としては寂しい限りです。
しかも、区長は、同じ区報のコラムの中で、児童相談所の設置を求める他区の動きを指して「
無力で不幸な子ども達を利用した『政治的』パフォーマンス」と、驚くような言葉を浴びせています。こうした乱暴で尊大な言動は他区の意思と努力に対してあまりに非礼であり、まさに誹謗中傷の類いです。そもそも、つい数年前までは、練馬区自身が児童相談所の移管を強く求めていたのです。そうした事実を少しでも思い起こせば、この区長の発言は天に唾するものであると言わざるを得ません。この発言を撤回すべきです。明確にお答えください。
児童相談所の設置はチャレンジに値する課題であると、私たちは考えます。区長が認識を改められることを期待するものです。

コメント