Access
池尻成二事務所 〒178-0063 練馬区東大泉5-6-9 03-5933-0108 ikesan.office@gmail.com

「宝くじ」の奥は深い…

 23区区長会に対して「日中友好交流事業」に関する資料の提出を要請していることについては、1月15日の記事で書きました。

     ➡23区区長会の「友好親善」旅行

 この要請に対する回答が、先日、ようやく届きました。呆れるような回答で、あらためて区長会のあり方をおおやけに問うていかなければならないと強く感じているところですが、記事にも書いたとおり、この事業の原資となっているのは宝くじの収益金です。宝くじと通常、言われるのは、当せん金付証票法という法律に基づいて全国の都道府県や政令指定都市が発売する賞金付のくじです。日本の法律では原則として賞金付のくじを含むギャンブル(賭け)が禁じられており、例外的に認められているのがこの宝くじやスポーツ振興くじ(totoなど)です。都内で発売される宝くじはすべて東京都が発売元です。そこで、東京都に情報公開をかけるなどして宝くじのお金の流れをまず整理してみました。

 宝くじの収益金は、東京都の一般会計の中で管理されています。東京都の2011年度決算を見ると、発行宝くじ収益金の総額はなんと約560億円にもなります。この収益金は、「諸収入」として都の一般会計歳入に計上され、様々な事業として支出されていきます。つまり、宝くじの収益金はれっきとした「公金」なのです。これはとっても大切なポイントです。
 東京都が発売する宝くじにはいろいろな種類があるのですが、そのうちサマージャンボとオータムジャンボは特に区市町村の財源に充当することを目的として発行されています。この二つの宝くじの収益金は、2011年度決算で約55億円に上ります。宝くじ収益金全体の約1割です。区市町村の財政が厳しさを増す中、貴重な財源というべきでしょう。
 歳入に計上された収益金は大半は都の様々な事業の財源として充当されますが、市町村くじ分は「自治振興費、区市町村宝くじ交付金」として支出されます。それが回りまわって区市町村の歳入となるのです…本当ならば。ところが、実はそうはなっていなかった。
 たとえば2012年度、今年度はこの交付金のうち5億円がオリンピック・パラリンピック招致機運醸成事業として、区長会に交付されています(このほかに市町村会などにも約5億円を交付)。各区ではなく区長会に、です。そのうち2.3億円は区長会からさらに各区に1000万円ずつ回って最終的には区の財源になるのですが、残りの2.7億円は違います。こちらは各区の財布に入ることのないままに、自治体(地方公共団体)でもなんでもないオリンピック招致委員会に渡るのです。不思議な話です。もともとは区市町村の財源に充てるために発売された宝くじの収益金が、なぜか区市町村を全く介さずにNPOの懐に入るのですから。

 昨年9月の補正予算に「オリンピック招致機運醸成事業」として顔を出した1000万円から始まった私の調査活動は、だんだん大詰めに来ています。1000万円に抱いた疑問は、年間55億円に上る公金の使い道、使い方という思わぬ広がりを見せ、さらには区長会という組織のあり方への深刻な問いかけに発展しようとしています。議会で問われるべきテーマです。

コメント