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「定額給付金」、どうしますか?

 「定額給付金」を盛り込んだ練馬区の補正予算が、3月3日の本会議で採決のうえ、賛成多数で可決されました。
 盛り込まれた定額給付金関連経費は約110億円。区の予算が全体で2000億円ですから、あらためてその額の大きさに驚かされます。もし100億円の自由に使える財源があったら、いや、その10分の1でもあったら、練馬区は、区民は、議会は、何に使おうとするだろう…。 国が決めたこととはいえ、一度はこう考えてみたい額です。
 私は、この補正予算案に反対して討論を行いました。討論の中で定額給付金に触れた部分を以下に紹介します。受け取らないこととするか、受け取った上で有効かつ意義のある使い道をできる限り工夫してみるか、いずれにしても年間で1000万円を超す税金を報酬として頂いている身として、私は、この給付金を自分の懐には入れません。皆さんはどうしますか?

 今回の補正のある意味で「目玉」となった定額給付金についても、施策の勘所を外し、区民と地域社会の真のニーズを捕まえることのできない政治の貧困を象徴するものと言わなければなりません。
 現金を受け取れば、それが元々はみずからが支払った税金であったとしても、誰も悪い気はしないでしょう。しかし、そもそも、この2兆円は、何のために集められたのか? 一人ひとりの直接的な利益とは別に、社会全体の必要に答え、国民的な課題に立ち向かうための財源として集められたのではないか。
 信念ある政治家ならまさにこの点にしっかりと答えるべきであり、責任ある行政担当者なら、まさにこの点にこそ知恵と力を集中すべきです。
 給付金の「経済効果」についてさまざまに言われます。しかし、2兆円は天から降ってきたわけではなく、さまざまな公共支出に充てられるべきものが個人消費に振り返られただけです。定額給付金のために、たとえば社会の技術革新や労働者の技能向上、あるいは子育て世代の安定や高齢世代の安心を支える社会システムの確立はそれだけ遠のいてしまいました。ひとり12,000円を、しかも1回限りでばら撒くことと、どちらが真に社会の進歩と経済の再建に役立ったでしょうか。
 もちろん、生活窮迫で1万円どころか1,000円の現金ですら貴重な階層は間違いなくあり、しかも広がっています。しかし、こうした階層の支援のためなら、一律全国民に、首相や資産家、あるいはわれわれ議員にまで一律にばらまく必要は何もありません。しかも、それらの階層に必要なのは、現金のばらまきよりも、恒常的な負担軽減の対策です。
 定額給付金は、政治の衰退と政治家の無思想を象徴するものであり、国民の多くがこの事業を評価していないのはきわめて健全で当然のことです。残念ながら、この給付金は給付金以外への転用は認められていません。しかし、区長には、たとえば「子育て支援基金」を作りたいから給付金を練馬区に預けてほしいと区民に語りかけるくらいの信念、まさに「矜持」があって欲しかったと私は考えます。

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