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「委託化」は曲がり角に ~区議11年、何を語ってきたか(その2)~

 3月11日、予算特別委員会で「委託化・民営化」について、とくに保育園を取り上げながら質疑をしました。その中で「委託化」の財政効果と言われるものがはなはだ怪しいものであること、また、「委託化」を進めるために保育士の新規採用を抑制し続けてきた結果、直営保育園保育士の年齢構成がきわめていびつなものになりつつあることを指摘しました。「委託化・民営化」は、その是非も含めて検証されるべき時期に来ている――私は、こう主張しました。その後、区長選があって議員を辞めましたから、事実上、最後のまとまった質疑になります。

池尻成二委員 区立保育園の、いわゆる民間委託化は、2005年に光が丘第八保育園で始まりまして、これまで16園で委託が進んでいる。残り4園についても予定園は決まっていて、一応、区としては20園まで委託をやるということで、進めていらっしゃいます。
 当初、この保育園の委託化については、いろいろな意味でメリットについての議論があったのですが、最大のメリットとして言われてきたのが経費の節減効果で、この予算特別委員会の中でも、たしか、1園当たり4,000万円程度の財政効果があるというお話があったように思います。ただ、実際に資料をいただいて委託費の推移を見ておりますと、園によって、もちろんでこぼこがあるのですけれども、全体として、かなり委託費が上がってきているように思われます。この委託費がじりじりと高騰している事情について、ご説明いただけますか。
保育計画調整課長 区立保育園の運営業務委託料でございます。委託料が上昇している理由につきましては、各事業者それぞれに理由があります。例えば、職員の入れ替わりが少なく年齢がそのまま上がっていけば、必然と給与が上がるというのが大きな理由となってございます。
池尻成二委員 資料をいただきまして、人件費等々のある程度の内訳もいただきました。
 例えば、比較的新しい委託園である光が丘第四保育園で、2011年決算と2014年の予算を比べますと、この3年間に2,690万円も人件費相当分が上がっております。平和台保育園も、この3年間に2,700万円を超す人件費相当分が上がっております。かなりの額です。これはある意味で、実は当初から予想されたことです。保育園が定着して、事業をしっかりやっていくうえでは、どうしても人件費が上がっていく。しかも、昨今の事情の中で、保育士の需給は逼迫しています。人件費の高騰が進めば、当然これは委託費の高騰になり、そして、それは、言われてきた財政節減効果について、一定の反省を求めるものにもなってくると思います。
 この財政効果の話の中で、区がもう一つ、ずっとおっしゃっていたのは、区の直営でやる場合の人件費として、一人800万円という数字です。…全体の職員の給料額を人件費で割り返したものということで、実は保育士も、全体の職員の年齢構成とほぼパラレルなようなので、その限りではいいと思うのです。
 ただ、保育士の年齢構成については、実際に見てみると、大変高齢化が進んでいるということであります。800万円という数字があるのですが、例えば、新卒で大卒の保育士を採用すると、共済費も含めて大体330万円程度ということですから、新卒の保育士を入れれば、人件費の持つ意味合いは全然違ってくるわけです。
 それで、年齢構成を教えていただきますと、ちょうど委託が始まった2007年で見ると、このときでも40代、50代で49.7%を占めていました。ほぼ半分です。ところが、直近の昨年4月の数字でいくと、40代、50代で、何と68%。ほとんど7割を占めています。これは委託を進める中で、若い保育士さんの採用が絞られてくる中でも、当然これも予想されたことなのですけれども、こういう直営保育園の年代構成について、私は大変危機感を覚えるのです。保育の所管として、この状況をどうお考えになるかお聞かせいただけますか。
保育課長 確かに、委員がおっしゃるとおり、年齢構成は上がっておりますけれども、それにより、むしろベテランの職員が増えているととらえることができると考えてございます。こういう年齢構成で、園の運営に支障を来しているとは考えてございません。
池尻成二委員 単純に、年数を重ねているベテランの保育士が増えているということではなくて、若い保育士がいなくなってもいいのですかと聞いたのです。ベテランの保育士は貴重な人材ですよ。だけれども、その人材の経験や熟練、あるいは知識を継承していく、若い保育士を養成する、育成するという意味での課題があるのではないですかと私は申し上げたのですが、受けとめていただけなかったのは残念です。
 私は、この間の委託化の現状を見ていて、そもそもの委託の是非論は議論があると思います。ただ、その是非論とは別に、実体論として、保育園の委託化は曲がり角にきているのではないかとすごく思うのです。
 これから子ども・子育て支援システムが入って、保育事業者自身が払底する。保育士の確保が本当に大変になってくる中で、私は、区でも、きちんと若い保育士を採用して、人材を確保し、そして、きちんとした保育園の運営をやっていただきたいと、お願いで申し上げて、終わります。

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