練馬区が出したフリーペーパーの話題が、インターネット上を駆け巡っています。発行者は、練馬区健康部健康推進課にできたという“健恋７係プロジェクト”です。
昨日、私はこのフリーペーパーをもらいに健康部を訪ねました。区の公式Hpのお知らせのトップに「健恋7係プロジェクト2015フリーペーパーを創刊」という記事を見つけ、どんなものか見たくなったからです。
受け取って、私は、強い違和感にとらわれました。周りの知人・友人に、意見を求めました。そして、違和感をおおやけにしました。
フリーペーパーには、こう書かれています。
『「キレイ」は、素敵。「健康」は、無敵。自分を気遣える女子は、「できる女子」です。』
フリーペーパーと一緒にもらってきたプロジェクトを紹介したチラシ(プロフィール?)には、こう書いてあります。
「キレイを追求していくと、そこには『健康』があります。」
「女子は、いくつになってもキレイでありたいと願うもの。…毎日のちょっとの気遣いから、キレイが生まれる」…
「キレイ」でありたい、あらねばならぬ。「キレイ」であることが「できる」こと。健康もまた「キレイ」になりたいという思いから。そして、それはすべて、「女子」のこと…。
私のフェイスブック上の記事には、区に対する批判のコメントがたくさん寄せられています。ツイッター上でも、批判と疑問、抗議のツィートが続いています。ステレオタイプな女性像、一面的な健康志向、障害や病気を抱える人たちへの無配慮、“上から”目線の価値観の押し付け…いろんな意見が聞こえてきます。一つ一つの着眼も力点も違っていますが、しかし、共通することはひとつ。人の心を深く傷つける差別や偏見への、無自覚です。
今日、このペーパーの発行元である健康推進課の課長と男女共同参画課長を呼んで、私の考えを伝え、両課の認識を問い、対処を求めました。このペーパーをお知らせのトップに置くという異例の対応をした広聴広報課長にも、その考えを問うつもりです。
このプロフィール・チラシは、今は区のホームページ上から削除されています。削除した理由は書かれていません。きっと、近々に説明があるでしょう。プロフィール・チラシは削除されましたが、フリーペーパーの方はそのままです。このペーパーには、こうも書いてあります。
「キレイな姿勢」「キレイな歩き方」「疲れにくいカラダ」「便秘改善」など、女子ならどのキーワードもきっと気になることと思います。…体幹をしっかりつくることが、美しい身体づくりにつながります。
「女子」って、こうなんだろうか? どんな「女子」のことを見ているんだろうか? 「キレイ」ってなんだろう。「女子力」ってなんだろう…保健行政――病気や死、虐待や障害まで区民の命に深く触れる仕事をしているはずの所管から、こうした文書が出されたことに、私はある種のショックを覚えます。
本当に、深く自省し、考えてみた方がいい。「健恋７係」の皆さんが、今、声を寄せてくださっている区民の皆さんと真摯に対話をしてくれることを期待しています。
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