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「過小規模」と文科省 ~区・区教委の立場を検証する②~

昨日4日は、光が丘四中「廃校」問題の地域説明会でした。昨日は、四中の保護者の皆さんも多数参加され、廃校への異論と疑問が解消されていないことをはっきりと教える場となりました。大切なこと。重要な機会。それにしても、地域の方の参加が少なかったような…誰に、どんな方法で周知したんだろう? 説明会は、明日6日も行われます。13時半から、四中体育館です。

さて、統廃合に関する区の立場を、国・文科省の考え方と照らしながら検証する記事の続きです。
学校の統廃合を考える際に、当然、前提となるのはそもそもどの程度の規模を「適正」と考えるかということです。区教委は、①小学校12~18学級、②中学校11~18学級を「適正規模」と定めてきました(『区立小・中学校および区立幼稚園の適正配置基本方針』)。そして、この「適正規模」を下回る学級数の学校を「過小規模校」として「通学区域の変更や学校の統合により、適正規模の確保に努めます」(同方針)としてきました。小学校で11学級以下、中学校で10学級以下になると、学区域の変更による調整が困難な場合は統廃合の対象にする。これが区教委の方針です。
国は、法令で、学校の「適正規模」を12~18と定めてきました。区教委の考え方も、ここから出発しています。

○ 学校教育法施行規則
第41 条 小学校の学級数は、12 学級以上18 学級以下を標準とする。ただし、地域の実態その他により特別の事情のある時は、この限りでない。※同条の規定は、第79 条で中学校に準用。
○ 義務教育諸学校等の施設費の国庫負担等に関する法律施行令
第4条 法第3条第1項の第4号の適正な規模の条件は、次の各号に掲げるものとする。
(1) 学級数がおおむね12 学級から18 学級までであること。

(2) 通学距離が、小学校にあってはおおむね4km以内、中学校にあってはおおむね6km以内であること。

問題は、「過小規模」の考え方です。区教委は、この「適正規模」に満たない学校をすべて過小規模校と定義しました。しかし、実は国は、違う考え方に立っています。国が示しているのはこうです。(「公立小・中学校の国庫負担事業認定申請の手引き」等による)
●小規模校 小学校6~11 中学校3~11
●過小規模校 小学校1~5 中学校1~2
国は、「小規模」と「過小規模」をはっきりと区別しています。文科省が昨年まとめた『公立小学校・中学校の適正規模・適正配置等に関する手引』でも、「統廃合を速やかに検討」すべきとしているのは上記の「過小規模」校についてであり、「小規模」校については、児童数の予測や教育上の課題等を考慮しながら「今後の教育環境の在り方を検討する」としているにとどまります。区教委の「適正配置」に関する考え方は、明らかに、国の考え方のベースを超えて統廃合に傾斜したものとなっています。
今、廃校の危機に瀕している光四中についていえば、今年度初めて4学級になりましたが、昨年度までは6学級以上ありました。また、学級数の減少も、子どもの人口の絶対的な減少によるものではなく、学校選択制という副次的・二次的な要因によるものです。四中の現状を見れば、少なくともこの4月に4学級になったから危機感を持った、緊急の対応が必要だといった理屈で、大慌てで廃校に動く必然性はまったくありません。
上記『手引き』では、学校規模の適正化に関する基本的な考え方として、こうも記しています。
「各市町村においては、これからの時代に求められる教育内容や指導方法の改善の方向性も十分勘案しつつ、現在の学級数や児童生徒数の下で、具体的にどのような教育上の課題があるかについて総合的な観点から分析を行い、保護者や地域住民と共通理解を図りながら、学校統合の適否について考える必要があります。」
「学校規模の適正化や適正配置の具体的な検討については、行政が一方的に進める性格のものでないことは言うまでもありません。各市町村においては、上記のような学校が持つ多様な機能にも留意し、学校教育の直接の受益者である児童生徒の保護者や将来の受益者である就学前の子供の保護者の声を重視しつつ、地域住民の十分な理解と協力を得るなど『地域とともにある学校づくり』の視点を踏まえた丁寧な議論を行うことが望まれます。」
保護者や地域住民と共通理解を図る。受益者である児童生徒の保護者の声を重視する…練馬区教育委員会は、これと全く逆のことをやっています。許されることではありません。

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