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「標準的な利用例」 ~支給限度額とは何だったのか? (その2)~

介護保険の支給限度額は、どうしてこの金額なのか。何を根拠に決められたのか? 限度額を所与のものとしてプラン作りに追われていると、そもそものこの問いなどどこかに飛んでしまいがちです。しかし、制度を構想し構築していく際には、この問いはとても重要な、いや決定的ともいえる論点でした。
介護保険制度は、3年を単位とした事業計画に基づいて進めることとされています。この事業計画を策定するのはそれぞれの保険者、つまり基礎自治体ですが、介護保険法では、事業計画の策定にあたって準拠すべき指針を国が定めることとしています。「介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針」、略して基本指針と言います。この基本指針の中には、介護保険から給付されるサービスの量の見込みを算出するために「参酌すべき標準」、参酌標準を定めることになっています。

介護保険法
第百十六条 厚生労働大臣は…介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するための基本的な指針(以下「基本指針」という。)を定めるものとする。
2 基本指針においては、次に掲げる事項について定めるものとする。
一 介護給付等対象サービスを提供する体制の確保及び地域支援事業の実施に関する基本的事項
二 次条第一項に規定する市町村介護保険事業計画において同条第二項第一号の介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを定めるに当たって参酌すべき標準その他当該市町村介護保険事業計画及び第百十八条第一項に規定する都道府県介護保険事業支援計画の作成に関する事項
三 その他介護保険事業に係る保険給付の円滑な実施を確保するために必要な事項

いちばん最初の基本指針は、介護保険が始まる前年、1999年5月に発出されました。その中では、参酌標準はこう書かれていました。

各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込み
参酌標準(市町村介護保険事業計画において介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを定めるに当たって参酌すべき標準として別表第二に掲げるものをいう。以下同じ。)を参考として、各年度における介護給付等対象サービスの種類ごとの量の見込みを定めるとともに、その考え方を示すことが必要である。この場合においては、可能な限り、寝たきり、痴呆等の予防のためのサービスの提供の効果を考慮することが望ましい。

ここに出てくる別表第二、が下の表です。要介護度や要介護状態の類型ごとに、様々な居宅サービスを組み合わせた表です。そして実は、この参酌標準が、支給限度額と一対となっていたのです。(続く)

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