冬迎えるアフガンから ~中村哲医師の現地報告~

 年末、福岡のペシャワール会事務局より、現地からの報告が届きました。苦闘する中村哲医師から送られてくる写真とメッセージは、峻烈です。

     ➡ペシャワール会は中村哲医師の活動を支えることを目的に作られたNGO。公式Hpはこちらから

 今、現地では「カシコート取水堰」の建設作業が大きな山場を迎えようとしています。「100の診療所より1本の用水路を!」――大河クナールの水を堰に導き、その水によって荒れた大地を潤す作業は、ここ数年、中村医師にとって最大の挑戦でした。そして、先に完成したマルワリード用水路に続いてカシコート用水路が完成すれば、流域6000万町歩(1町歩≒1ha)以上が潤い、25万の農民の命が支えられると言います。中村医師は、このカシコート堰=用水路の建設を「緑の大地計画の天王山」とみなしてきました。
 中村哲医師、現地からの報告です。

 今週で主な河道工事は目途をつけました。…カシコート堰が全貌を現しました。これにて「緑の大地計画」はピークを迎え、あとは努力すれば、用水路本体は時間次第だと思います。…まずは堰成功の見通しを、感謝を以て連絡いたします。   (12月6日記)

 しかし、1週間後にはこう続きます。

 今週から本格的な寒波と氷雨がやってきました。予測はしていたものの、工事は雨中の強行軍、現場対岸では再び派手な交戦、此岸では米軍の演習です。砕ける水の純白と連日覆う黒雲を背景に、さながら地獄絵巻です。「峠を越えた」と少しはしゃぎすぎたのか、あざ笑うように冷たい風雨が行く手を阻む。…確かに「見通しがついた」のだけれど、その後の工事はただ壮絶。少しゆとりができた時に語りましょう。天以外に怖いものがなくなりました。   (12月13日記)

 言葉がありません。ただただ、成就を祈るのみ。最後に、哲さんからの新年のメッセージを。

 時々流されるアフガン情勢は、戦局や危険情報、復興支援を巡る報でなければ、それに対する論評ばかりです。いくら安全や人権が主張されても、一般のアフガン人の生命や人権は含まれていないようです。
 もう静かにしておいて頂きたい。そう思います。見捨てられた人々の声が届くことは、今後もないでしょう。…ここでは、どんな理屈も評論も虚ろです。それよりも、飢えた人々に温かいパンの一切れを分かち合おうとする真心だけが、励みであり、信ずるに足ることです。
 生殺与奪の権を握る自然の大河は、轟々と流れ、真っ白な水しぶきを上げて岩に砕け散る。それが何かを語るようです。人を欺かぬメッセージに耳を傾けます。
 何もアフガンだけが困っている訳ではありません。しかし、平和とは生きた力です。どんな事情にあっても、私たちを根底から支えるのは、そんな人の温もりと和やかさであって、批評や「情報」ではありません。まして暴力や政略は論外です。
 日本も寒々とした状態が続いていると聞きましたが、これまでの温かい支えと、変わらぬご理解に感謝申し上げます。良いクリスマスと新年をお迎えください。     (ペシャワール会報№114より)

 医療活動から始まった30年は、命を支える「水」を求める活動へと広がり、さらに今、水を支えとした農地・農業の再建、さらには地域社会の復興をめざす「緑の大地計画」として実を結びつつあります。また話を聞きたくなりました。

★★灌漑事業に取り組む中村医師らのたたかいをとてもよくまとめたDVD『アフガニスタン 干ばつの大地に用水路を拓く ~治水技術 7年の記録~ 』をぜひご覧ください。市民の声ねりま(siminnokoe@nifty.com)でも取り扱っています。

|2013-01-06T00:36:00+09:002013年1月6日|コメントはありません

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