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この違和感は何だろう? ~新練馬区長の「ビジョン」を読む~

 昨年4月の選挙で当選した前川新練馬区長が、『(仮称)区政運営の新しいビジョン』の素案を公表しています。

     ➡ビジョン素案については、練馬区の公式Hpの こちら から

 一読して、強い違和感を抑えることができませんでした。この違和感は、何だろう。どこから来るのだろう?
 私が区長選で戦って敗れた相手だから? 区長選に敗れた口惜しさは今でも心の深くに刻まれていますが、しかし、それほど私は心狭くはありません。そうではなくて、このビジョンに良くも悪しくもはっきりと表れた新区長の姿勢や感性に、強い違和感を感じてしまうのです。
 『ビジョン』は「構想編」と「戦略計画編」からなる、とされています。“戦略”なんていう言葉、時代の流行かもしれませんが、区民とともに造って行く区政、区民にもっとも身近であるべき自治体の構想にふさわしいのかなぁ。ここからして違和感たっぷりなのですが、本文を読んでみて気が付きました。「自治」という言葉が、「自治体」や「自治会」を除けば、一度も出てこないのです。この時代の、しかも基礎的「自治」体である区政のビジョンに、一度も「自治」の言葉が出てこない。本当に驚きです。新区長は、「自治」がお嫌い?
 一度も出てこない単語は、ほかにもいろいろあります。例えば「権利」。「差別」や「平等」、「格差」、「貧困」などの言葉も一度も出てきません。障害者の「差別解消法」が大きな行政課題になっているときに、あるいは非正規雇用の若者たちの「貧困」や子どもたちの間に広がる教育「格差」が盛んに議論を呼び、しかもまさに基礎的自治体の課題であるというのに、それらの言葉が一度も出てこないのです。いやいや、これまで区政の中でもたびたび使われてきた「(区政への)参加」の言葉も、ありません。区のイベントへの参加や地域の活動への参加については言及がありますが、区政――区としての意思決定や執行過程への「参加」は、ありません。「コミュニティ」についても、東日本大震災の経験で「問い直しを迫られている」とあるのみで、区政の課題や目標としては何も触れられていません。
 要するに、主権者でありまちづくりの主人公であるはずの区民の姿が、そこにはない。人と人との関係、あるいは地域社会の中に現れている人のつながりの課題や目標について、『ビジョン』はまったく触れていない。まったく注意も関心も払っていないのです。
 これは、決して偶然ではないでしょう。前川区政の本質、前川区長が区政というものをどう考えているかの核心が、こうしたところに現れている。私にはそう思えてなりません。(続く)

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