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「リアルなニーズ」は見えているか? ~保育「待機児童」問題~

「リアルな行政ニーズにこたえていく」一一前川区長が、よく口にする言葉です、本当かな? そう思うことがしばしばあります。保育所の待機児童問題も、そうです。
前の記事で、一次募集の申し込み状況について簡単に紹介しました。もう少し数字を整理をして見たのが下のグラフです。一次募集の募集枠、つまり受け入れ可能な人数と申込数の差を、年齢別・年度別にまとめたものです。数字が多いほど、枠が不足していたということになります。また、数字がマイナスになっているのは、募集枠の方が多かった、つまり単純計算では全員が一次で内定をもらえる状況だということになります。
この数字は単純に差を出したものです。実際には、サービスの種類や地域、園ごとの事情に応じてマッチングがうまく行かない場合が一定数あると思われます。ですから、内定をもらえず「保留」の通知が届いた人は、さらに多くなるはずです。
このグラフを見ていると、ぞっとしてきます。1歳も2歳も3歳も数字はこれまでの最悪であり、状況はかつてなく厳しいものです。1~3歳を単純に合計すると、1,581人分枠が足りなかった…もちろん、この1,581人がそのまま全員、保育を受けられなくなるということではありません。二次募集から枠が加わる新設園も若干あります。再調整で、ミスマッチもいくらか解消できるでしょう。また、これから年度末にけて転園、退園等も増えてくるはずです。そして、0~2歳なら「認証保育所」、3歳なら「練馬こども園」などの認可外の施設・事業に入る人もかなりの数に上るでしょう。認証や練馬こども園に預けた場合は、待機児童にカウントしなくてよいということになっています。
しかし、例えば認証保育所は、今どんどん減っています。理由は、認可保育所に移行しているからです。かつて2014年度には最大で36施設・1,147人の定員があった認証保育所ですが、今年の2月1日時点では21施設、定員は615人とほぼ半減しています。つまり、認可保育所等に入れなかった0~2歳の子どもたちの受け皿は、ますます少なくなってきているのです。
3歳児について見ても、申込数の超過は258人から392人と急増しています。一方で、区がほとんど唯一の対策として喧伝してきた練馬こども園は、70人の定員拡大にとどまります。急場しのぎ――といっても投入する税金は半端ではないのですが――の3歳児1年保育が80人です。この二つはいずれも認可保育とは負担や保育サービスの内容に大きな差があることを置くとしても、地域的な偏在も含め量だけ見ても待機児を解消するに十分とは思えません。
練馬区の待機児童問題は、この4月に向けて、深刻な状況を迎えるのではないか。大いに危惧します。このまま4月に向けて、手を拱(こまね)いていてよいのか。真剣に議論すべきではないでしょうか。

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